「血糖値が高くなってしまったんだけど、どうしよう。」
「HbA1cが高い場合って何が原因?どうすればいいの?」
などのお悩みはありませんか?
この記事では、健康診断で検査されることの多い空腹時血糖値やHbA1cなどの血糖関連項目の見方や食事対策についてお話しします。
血糖検査の各指標
血糖関連の検査では、
「空腹時血糖値」
「HbA1c(グリコヘモグロビン)」
「尿糖」
の3つが主な指標です。
それぞれ一つずつ、お話ししていきます。
空腹時血糖値
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことです。
主にエネルギー源としての役割を持っています。
血糖値は、空腹状態で測定する「空腹時血糖値」と食事を考慮せずに図る「随時血糖値」がありますが、
基本的には「空腹時血糖値」を測定することが多いです。
基準値
糖尿病型:126mg/dl以上
要注意:100~125mg/dl(特定保健指導では引っ掛かる)
基準値:99mg/dl以下
126mg/dl以上で異常値となります。
100mg以上の場合も注意が必要です。
異常値になる原因
血糖値が異常になる原因は、血糖値を下げる働きをするインスリンが不足することや、インスリンが効きにくくなるためです。
その原因はさまざまで、食事、他疾患、薬剤などの影響を受けます。
インスリンは膵臓から分泌されるのですが、高血糖状態が長く続くことで膵臓に負担がかかり、
インスリンを十分に分泌できなくなり、血糖値を基準値内にとどめておくことができなくなり、高血糖になります。
食事対策
食事と一緒に食物繊維を摂ることで、食後の血糖値急上昇を抑制してくれます。
血糖値が高くなりすぎずに済むため、容易に下げることができ基準値以下を維持しやすくなります。
食物繊維は、野菜や海藻、キノコ、未精製穀類などに多く含まれていますので、
それらをしっかり摂るようにしましょう。
また、食物繊維を食事の最初で食べると良いとされていますので、
副菜や主菜から先に食べて、最後に主食を食べるようにすると良いでしょう。
血糖値は糖質を摂ることで、上昇してしまいます。
糖質が多すぎると膵臓への負担が大きくなり、インスリンを分泌する能力が衰えてしまい、
空腹時の血糖値を基準値内で維持できずに、高血糖状態のままになってしまいます。
そのため、血糖値に直結する糖質は適量の摂取を心がけるようにしましょう。
主食の大盛りや甘いデザートの食べすぎは控えましょう。
早食い・大食いのように一度に多くの食事を取ると、血糖値も急上昇しやすくなってしまいます。
早食い・大食いを避けるためにも、食事はよく噛んで食べるようにしましょう。
具体的には20分~30分の食事時間が最適です。
HbA1c(グリコヘモグロビン)
血糖値は採血時点での状態を表しているのに対して、
HbA1cは過去1~2か月の平均的な血糖値の状態を表しています。
基準値
基準値:4.7~6.2%
(特定保健指導では5.6%以上で引っ掛かります)
6.3%以上で異常値となります。
5.6%以上の場合も注意が必要です。
HbA1cは過去1~2か月の血糖値の状態を表しているので、
直近の生活改善により血糖値は基準値内に収まっている場合でも、HbA1cが高値を示す場合があります。
異常値になる原因
インスリンの分泌低下や効きにくくなること、不規則な生活習慣が原因となります。
インスリンが十分に働かなくなる場合は、空腹時血糖・HbA1cともに高値を示します。
不規則な生活習慣が原因の場合は、空腹時血糖は抑えられていてもHbA1cは高くなるケースがあり、
食事バランスが悪いことや食事回数が多い、間食習慣、早食い、などが考えられます。
食事対策
血糖値は食事のたびに上昇するのですが、1日3食バランスよく適正エネルギー量で食事を取ることで、
均等な血糖値の波を作ることができ、HbA1cを落ち着かせることができます。
反対に、以下のような食生活はHbA1cを乱れやすくしてしまうので注意しましょう。
・朝食は食べない。
・昼食だけ主食を摂るようにしている。
・夕食にがっつり食事をしてしまう。
・16時間断食をしているため、その他8時間は好き放題食事を取っている。
このように、3食のバランスが乱れていると血糖値の波も乱れてしまい、HbA1cに悪影響が生じます。
1日3食以外に血糖値を上げてしまうと、血糖値の波が乱れてしまいます。
食事以外で間食として、甘いものを食べている方や甘い飲み物を飲んでいる方は要注意です。
そうすることで、必要以上に血糖値を高めてしまい、HbA1cも高い値になってしまいます。
1日3食の食事以外では、甘いものを食べるのは控えましょう。
朝食・昼食・夕食それぞれ決まった時間に食事を取るようにすると、
血糖値の波が一定になり、HbA1cを落ち着かせることができます。
朝食は8時までに、昼食は12~13時に、夕食は18~19時(遅くても21時まで)がベストです。
なかなか難しいかもしれませんが、HbA1cが高い場合はこの食事時間を守るようにしましょう。
尿糖
血液中のブドウ糖が腎臓でろ過された後、95%が血液中へ再吸収されるため、
健康な人ではわずかな量の糖しか尿へ濾出しません。
基準値
陰性(-)
陽性で異常となりますが、
食後には尿糖が出やすいことや、アスコルビン酸(ビタミンC)によって偽陽性を示す場合があるなど、
尿糖が出たからといって糖尿病であると断定することはできません。
異常値になる原因
血糖値が160~180mg/dlを超えたり、腎機能が低下することで、
尿糖が陽性になるとされています。
食事対策
基本的には1日3食・適正エネルギー量での食事を心がけることが大切です。
さらに食物繊維の多い食事や糖質の量に配慮すると良いでしょう。
腎機能低下に伴う腎性糖尿の場合は、腎機能に合わせた食生活を送るようにしましょう。
まとめ
健康診断の血糖関連項目の見方と食事対策についてお話ししました。
血糖関連項目で異常のある方は、バランスの良い食生活・適切なエネルギー量を意識して、
血糖値を下げる働きをするインスリンを分泌する膵臓に負担をかけないような食生活を送ることが大切です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考
菅野義彦,「見方がわかれば味方になる!栄養指導にいかす検査値の読み取りポイント」,メディカ出版,2020年5月,82~84.88~89
奈良信雄,「オールカラー やさしくわかる 看護師のための検査値パーフェクト事典」,ナツメ社,2022年4月,94~95.178~179.182
道又元裕,「臨床判断を鍛える アセスメント力がつく 検査値の読み方」,ナツメ社,2021年9月,21~23.176~181