前回「栄養面での白米と玄米の違い」という記事を書いて、
玄米の方が、食物繊維・ビタミン・ミネラルが多く含まれていることが分かりました。
そこで、
「白米を玄米に置き換えたら、食物繊維・ビタミン・ミネラルの欠乏は回避できるのか?」
という疑問が生じました。
今回はその内容について、お話ししていきます。
現代人は食物繊維・ビタミン・ミネラルが足りていない
現代の日本人では、
「朝食の欠食」
「外食・中食中心の生活」
「貧富の格差」
「過度なダイエット」
などの不規則な食生活により、栄養不足になってしまうことが問題となっています。
なかでも、若年者の栄養不足はひどく、ビタミン・ミネラル19種類のうち半数以上が不足しています。
しかし、栄養バランスを整えるのは容易ではなく、
やり方が分からないために、放置してしまっている人も多くいると思います。
今回は、主食を白米から玄米に置きかえるだけで、どれだけ栄養不足を補えるのかということを調べてみました。
主食を白米から玄米に置き換えたらどうなる?
今回は、
男性の場合:1日200gを白米から玄米に
女性の場合:1日150gを白米から玄米に
置き換えたと仮定しました。
というのも、平均摂取量の算出には「国民健康栄養調査」の結果をもとにしたのですが、
そもそも玄米を食べている人も調査対象者に入っている可能性もありますし、
白米から玄米に完全に置きかえるのではなく、白米と玄米を50:50で混ぜて炊く場合もあると想定し、上記の値にしました。
また、細かいことですが、
白米と玄米の栄養成分は2020年の食品成分表をもとに計算したのですが、
食物繊維の測定方法が異なっていたため、お互いプロスキー変法での値をもとに計算しました。
また、妊婦・授乳婦に関しては摂取基準が異なってきますので、気を付けてください。
また、図の見方ですが、男性・女性ごとの平均摂取量と玄米想定の栄養素量を比較して見ていただけると良いと思います。
20~29歳
男性:不足13種・充足7種 → 不足10種・充足10種(ビタミンB6・葉酸・鉄が充足できる)
女性:不足14種・充足6種 → 不足11種・充足9種(ビタミンB6・パントテン酸・鉄が充足できる)
白米から玄米に置きかえることで、ビタミンB6や鉄などの栄養素を充足できる可能性があります。
しかし、玄米だけでは栄養素の不足を完全に補うことは難しいため、
コップ1杯の牛乳を飲み、ビタミンB2・カルシウム・マグネシウム・亜鉛を補い、
果物1つを食べ、食物繊維・ビタミンA・ビタミンC・カリウムを補うようにすると良いと思います。
30~39歳
男性:不足13種・充足7種 → 不足10種・充足10種(ビタミンB6・リン・鉄が充足できる)
女性:不足14種・充足6種 → 不足10種・充足10種(ビタミンB6・葉酸・パントテン酸・鉄が充足できる)
30代の方々も、20代の方々と同様の評価です。
白米から玄米に置きかえることで、ビタミンB6や鉄などの栄養素を充足できる可能性があります。
コップ1杯の牛乳と果物1日1つを追加すると良いと思います。
30代の方々は、若い頃に比べて体力・体調の低下を感じ始めるころだと思います。
20代に比べると、少しだけ経済力に余裕が生まれると思いますので、その分を健康面の投資に使えると良いですね。
40~49歳
男性:不足11種・充足9種 → 不足10種・充足10種(ビタミンB6が充足できる)
女性:不足11種・充足9種 → 不足7種・充足13種(ビタミンB1・ビタミンB6・マグネシウム・亜鉛が充足できる)
白米から玄米に置きかえることで、ビタミンB6などの栄養素を充足できる可能性があります。
40代では、特に女性の結果が大きく表れていることが分かります。
その理由として、40代になってから健康診断で数値の悪化を指摘される機会が増え、少しずつ健康面へ投資を始めているためだと考えられます。
しかし、あと一歩足りていない方が多くいるのかと考えられ、
その「あと一歩」が白米から玄米に替えることで達成できるのかなと思われます。
男性は、健康への意識が高まっていない可能性があります。
40代へのアドバイスも、20代、30代と同じになってしまいますが、
コップ1杯の牛乳と、1日1個の果物の追加が適当かと考えます。
それに加えて、骨の健康を維持するために「ビタミンD」の充足も考え始めましょう。
ビタミンDは比較的摂りにくい栄養素で、魚やキノコ類に多く入っています。
主菜では、肉と魚の選択を半々にするようにしましょう。(肉ばっかり食べないで)
また、キノコ料理を副菜に取り入れてみると良いでしょう。
50~59歳
男性:不足12種・充足8種 → 不足9種・充足11種(食物繊維・ビタミンB6・パントテン酸が充足できる)
女性:不足11種・充足9種 → 不足8種・充足12種(食物繊維・ビタミンB6・マグネシウムが充足できる)
白米から玄米に置きかえることで、食物繊維やビタミンB6などの栄養素を充足できる可能性があります。
しかし、玄米だけではは栄養素の不足を完全に補うことは難しいため、
20代、30代、40代同様に、コップ1杯の牛乳、1日1個の果物を取り入れると良いでしょう。
また、40代同様にビタミンDも充足できるように、魚料理の選択を増やし、キノコ料理を多めに取り入れるようにすると良いでしょう。
50代からは、健康にしっかりと気を付けるようにしないと、
突然、心筋梗塞や脳梗塞などが起こる可能性も高くなってきます。
経済的にも若い頃よりは余裕がある人が多いと思いますので、健康への投資を惜しまないようにしましょう。
60~64歳
食事摂取基準では「60~64歳」と「65~69歳」で基準が異なるため、「60~64歳」となっています。
男性:不足10種・充足10種 → 不足6種・充足14種(食物繊維・ビタミンB1・ビタミンB6・マグネシウムが充足できる)
女性:不足6種・充足14種 → 不足3種・充足17種(ビタミンB1・カリウム・マグネシウムが充足できる)
白米から玄米に置きかえることで、ビタミンB1やマグネシウムなどの栄養素を充足できる可能性があります。
さすが60代からは健康意識が高まっていることが分かります。
主食を玄米に替えるだけで、男性では不足栄養素が「6種類」。女性では不足栄養素が「3種類」にまで減ります。
あとはカルシウムとビタミンA、ビタミンDをしっかり摂れるように、
小魚・乳製品・卵などを日々の生活に取り入れるようにすると良いでしょう。
65~74歳
男性:不足7種・充足13種 → 不足5種・充足15種(ビタミンB1・マグネシウムが充足できる)
女性:不足4種・充足16種 → 不足3種・充足17種(ビタミンB1が充足できる)
白米から玄米に置きかえることで、ビタミンB1などの栄養素を充足できる可能性があります。
しかし、元からしっかりと栄養素を摂ることができています。
また、玄米は白米よりもしっかり噛まないと、消化不良を起こして腹痛や栄養素を十分に吸収できなくなってしまいます。
噛む力が衰えてきている高齢者の方々には、玄米はおすすめしません。
逆に、白米をしっかりと噛んで食べることで、あごの筋力の維持や消化・吸収しやすくすることが大切です。
食生活へのアドバイスとしては、
乳製品や卵を摂るようにすると良いと思います。
75歳以上
男性:不足7種・充足13種 → 不足4種・充足16種(ビタミンB1・ビタミンB6・マグネシウムが充足できる)
女性:不足7種・充足13種 → 不足5種・充足15種(ビタミンB1・マグネシウムが充足できる)
白米から玄米に置きかえることで、ビタミンB1やマグネシウムなどの栄養素を充足できる可能性があります。
しかし、65~74歳の方々への評価同様に、十分な咀嚼が必要な玄米はおすすめできません。
白米をしっかりと噛んで食べることで、あごの筋力の維持や消化・吸収しやすくすることが大切です。
食生活へのアドバイスとしては、
乳製品や卵を摂るようにすると良いと思います。
しかし75歳以上では、摂食嚥下機能が低下している人や、血糖値の異常がある、腎機能が低下しているなどの疾患を抱えている方も多くいると思います。
そのような方々は、身近なかかりつけの医師や管理栄養士と相談して食事内容を決めるようにしてください。
まとめ
各性別、全年代において、白米から玄米に置きかえることで、
1つ以上の栄養素を新たに充足できる可能性があることが分かりました。
特に栄養素の摂取不足が深刻な20代、30代の方々は、玄米への置き換えが有効であると考えます。
金銭面的にも大きな負担が無く始められることです。
将来への健康の投資の第一歩としては、かなり良い選択肢だと思います。
40代、50代、64歳までの方々も玄米への置き換えは有効ですが、
それ以外の食品もしっかり摂るようにして、健康習慣を確立させることが大切です。
65歳以上の方々は、玄米への置き換えをする必要はないと考えます。
玄米ではなく、白米をしっかり噛んで食べることや、乳製品や卵を食べるようにして、ビタミンAやカルシウムなどの栄養素を補うようにすることが最優先かと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ちなみに私のおすすめの玄米の食べ方は、白米1:玄米1の比率で水分多めに炊くことです。
参考