健康診断の結果が少し悪くて、気になってしまっていませんか?
フリーランスの管理栄養士として特定保健指導を実施している筆者が、
基本的な項目(身体・血圧・脂質・血糖・肝機能・腎機能・貧血)の基準値と見方についてお話しします。
健康診断の基準値について
健康診断は、健康の維持や疾患の予防・早期発見のために役立てるものであるため、基準値が厳しく設定されている場合が多いです。
例えば「血圧」の場合、
“140~/90~”が高血圧の診断基準ですが、
“130~139/85~89″は高血圧の一歩手前であるため、予防のために健康診断では「アウト判定」として引っ掛かります。
そのため基準値は”~129/~84″と、診断基準よりやや低い値になっています。
他の検査項目も同様に、疾患の診断基準に比べるとやや厳しい値が基準値となっています。
そのため、健康診断の基準値より少し悪くても焦る必要はなく、
その原因になってしまっているであろう生活習慣を改善するように心がけることができれば問題ありません。
しかし、健康診断の基準値よりかなり悪い場合は、再検査のために早めに医療機関を受診する必要があります。
基本的な項目の見方
健康診断では、1つの大項目に対し2~4個の小項目の検査を実施します。
例えば「脂質」の場合、
「HDLコレステロール」と「LDLコレステロール」と「中性脂肪(TG)」の3つを検査する場合が多いです。
仮に、脂質関連で異常として引っ掛かったとしても、1つや2つで引っ掛かっていることが多く、
3つ全てで引っ掛かっている人は少ないです。
理由は明確で、
HDLコレステロールの異常は、良質な脂質の摂取不足など
LDLコレステロールの異常は、脂質の過剰摂取など
中性脂肪の異常は、糖質の過剰摂取など
のように原因がやや異なるためです。
このことから大項目はあくまで目安として確認し、小項目に注目するようにしましょう。
大項目 | 小項目 | 基準値 |
身体 | 腹囲 | 男性 ~84.9 女性 ~89.9 |
BMI | 18.5~24.9 | |
血圧 | 最高血圧 | ~129 |
最低血圧 | ~84 | |
脂質 | HDH-C | 40~ |
LDL-C | ~119 | |
中性脂肪 | ~149 | |
血糖 | 空腹時血糖 | ~99 |
HbA1c | ~5.5 | |
尿糖 | ( – ) | |
肝機能 | AST(GOT) | ~30 |
ALT(GPT) | ~30 | |
γ-GTP | ~50 | |
腎機能 | 尿酸 | ~7.0 |
クレアチニン | 男性 ~1.0 女性 ~0.7 | |
eGFR | 60~ | |
尿蛋白 | ( – ) | |
貧血 | ヘモグロビン (血色色素) | 男性 13.1~16.6 女性 12.1~14.6 |
ヘマトクリット | 男性 38.5~48.9 女性 35.5~43.9 |
各項目について
身体
腹囲・BMIは、
おもに肥満の検査で使われています。
「血圧」「脂質」「血糖」の異常は肥満が原因である場合が多く、
逆に肥満を改善すれば、他の数値も改善する可能性があります。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
【健康診断】腹囲・BMIの見方と対策血圧
最大血圧(収縮期血圧)・最小血圧(拡張期血圧)は、
おもに高血圧の検査で使われています。
塩分の多い食事、飲酒・喫煙習慣、ストレスなどが原因となり、
血圧が高くなってしまいます。
脂質
HDLコレステロール・LDLコレステロール・中性脂肪(TG)は、
おもに脂質異常症の検査で使われています。
肥満、揚げ物の多い食事、運動不足などが原因となり、
脂質関連項目が高くなってしまいます。
血糖
空腹時血糖・HbA1c(グルコアルブミン)・尿糖は、
おもに糖尿病の検査で使われています。
糖質の多い食事、不規則な生活習慣、運動不足などが原因となり、
血糖関連項目が高くなってしまいます。
肝機能
AST(GOT)・ALT(GPT)・γ-GTPは、
おもに肝機能障害の検査で使われています。
飲酒習慣、特にお酒の飲みすぎなどが原因となり、
肝機能項目が高くなってしまいます。
腎機能
尿酸・クレアチニン・eGFR・尿蛋白は、
おもに腎機能障害の検査で使われています。
腎機能は各項目ごとによる違いが大きく、
尿酸は飲酒習慣など、クレアチニン・eGFR・尿蛋白は加齢などが原因となりますが、
クレアチニン・尿蛋白は筋トレをしている人や、経血により引っ掛かる可能性があり、
数値の異常が必ずしも腎機能の異常と関連しているとも言い切れないことが特徴です。
貧血
ヘモグロビン(血色色素)・ヘマトクリットは、
おもに貧血の検査で使われています。
飲酒習慣、栄養バランスの乱れなどが原因となり、
貧血検査項目が低くなってしまいます。
まとめ
今回は、健康診断の基本的な項目についての説明をしました。
ここで説明した値に関しては、生活習慣の改善により、検査数値も改善する可能性があります。(ただし腎機能関連項目を除く。)
健康診断の結果が悪い場合、落ち込むのではなく、生活習慣を改善する第一歩を踏み出す活力にしましょう。
また、健康診断が悪く、特定保健指導の案内が来ている方もいるかもしれませんが、
特定保健指導は「これがダメ」「太ってる」「痩せなさい」などの高圧的な指導は一切なく、
(私はしません。これをされたらクレームを入れても良いと思います。)
対象者様の生活背景に合わせた、食事選択、運動習慣の確立、その他生活習慣へのアドバイスを行うものです。
正直、指導員の当たりハズレが大きいとは思いますが、一度は受けてみてもいいのかなと思います。
健康診断結果をもとに、生活習慣に変化をつけ、健康寿命を全うできるように人生をコントロールしましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。