「認知症予防と食事って関係があるんですか?」
「最近物忘れがひどくて、認知症になるんじゃないかと不安です。」
などの疑問はありませんか?
この記事では、認知症の基礎情報、食事・生活習慣との関連などについてお話しします。
認知症
認知症とは
「認知症」とは、様々な脳の病気により、脳の神経細胞の働きが徐々に低下し、認知機能(記憶、判断力など)が低下して、社会生活に支障をきたした状態をいいます。
知っておきたい認知症の基本(政府広報オンライン)
認知症では次のような症状が現れます。
・経験した出来事そのものを忘れる
・食事したことを忘れる
・相手の存在そのものを忘れる
・今日の日付や曜日が分からない
経験した一部を忘れることや、食事をしたことは覚えているが何を食べたか忘れるなどの、
加齢による物忘れとは異なります。
認知症と物忘れの違いは、忘れたことを自覚できるかがポイントです。
認知症の種類
認知症には主に4つの種類があります。
脳に異常なたんぱく質がたまることで神経細胞が障害されることが原因の
●「アルツハイマー型認知症」
●「レビー小体型認知症」
●「前頭側頭型認知症」
この3つとは異なり、脳出血や脳梗塞などの脳の血管障害によって神経細胞への血流が途絶え、神経細胞が死んでしまうことが原因の
●「血管性認知症」
これらの中で、
最も多いのが、「アルツハイマー型認知症」で約7割を占めます。
次に多いのが、「血管性認知症」で約2割を占めます。
認知症患者数の推移
高齢化社会(高齢者の増加)により、認知症の患者も増えていくと予想されています。
平成29年の内閣府による発表によると、
2025年では5人に1人(730万人)
2040年では4人に1人(953万人)
が認知症になると推定しています。
食事・生活習慣との関係
生活習慣病である高血圧や糖尿病、またそのリスク因子である肥満や飲酒、喫煙、睡眠不足などにより、
血管が硬くなったり、血液の流れが悪くなる動脈硬化が起こる可能性があります。
動脈硬化が進行することによって、脳出血や脳梗塞などの脳血管障害が起こり、血管性認知症になるリスクが高まります。
そのため、食事・生活習慣を改善する必要があります。
また、すでに糖尿病、高血圧を患っている方や肥満体型の方は、さらに注意が必要です。
糖尿病
多くの研究で、糖尿病がある人は糖尿病がない人と比べて、
アルツハイマー型は約1.5倍、血管性認知症は約2倍起こりやすいことが明らかになっています。※1
糖尿病を患っている人の中でも、
糖尿病を未治療の方や、HbA1cの値が8.0%以上の方などに起こりやすいと言われています。
そのため、糖尿病を患っている方は、きちんと治療を受けることが重要です。
高血圧
高血圧の人も脳血管性認知症のリスクを高めることが分かっています。
福岡県久山町の地域住民を対象とした「久山町研究」によるデータでは、
正常血圧(120/80未満)の人に比べて、Ⅱ度高血圧(160~179/100~109)の方では、
50~64歳では10.1倍
65~79歳以上では7.3倍
脳血管性認知症になるリスクが高いことが分かりました。※2
正常血圧(120/80未満)を目指して、食事や運動、薬での治療をするようにしましょう。
肥満
肥満の人(BMI25以上)は認知症のリスクが高いことが分かっています。
肥満の人の認知症になるリスクは1.88倍
太っていて筋肉が少ない「サルコペニア肥満」の人は、認知症になるリスクが6.17倍
それぞれ正常な人に比べて高かったとのことです。
肥満は生活習慣病のリスクであり、高血糖、高血圧などを引き起こすため、適正体重を維持するようにしましょう。
食事や運動で予防しよう
毎日のちょっとした心がけで認知症のリスクは減らすことができます。
食事面では、塩分の多い食事を控えることで血圧を抑える効果が期待できます。
また、食前または食事と一緒に食物繊維を摂ることで、食後高血糖及び食後中性脂肪の上昇速度を緩めることができます。
おすすめの食物繊維の摂り方は、野菜や海藻、きのこなどの食材から摂るよりも、
粉状の食物繊維補給の栄養補助食品を、飲み物やお米を炊くときに混ぜる方法です。
飲み物に混ぜることが手っ取り早いですが、お米を炊くときに混ぜることで、白米でも玄米のような食後高血糖抑制効果を得ることができると考えています。
ファイン食物繊維は、お値段も安いため、健康への第一歩として始めやすいかと思います。
運動面では、1日30分週4以上の有酸素運動が効果的とされています。
日頃運動していない方は、しっかりと運動するようにしましょう。
まとめ
「認知症」とは、様々な脳の病気により、脳の神経細胞の働きが徐々に低下し、認知機能(記憶、判断力など)が低下して、社会生活に支障をきたした状態をいいます。
認知症は、大きく分けて4つの種類(アルツハイマー型、レビー小体型、前頭側頭型、血管性認知症)があります。
認知症患者は、高齢者の増加と共に増えていくとされています。
脳血管性認知症の原因は、動脈硬化が主であり、糖尿病、高血圧、肥満などもリスクとなります。
その場合は、食事や運動で予防することができるので、ぜひ健康への一歩を踏み出してみてください。
参考
山口博「ボケない習慣を大事なとこだけ3行にまとめました。」,宝島社,2024年4月,16~21.26~33.36~37ページ
古和久朋「健達ねっとで1億回読まれている 認知症がわかるコラム」,メディカルケアサービス,2024年4月,6~7.31~34ページ
↑他にも、食事・運動・生活習慣で○○すると良いですよ!といったことが書かれています。
↑他にも、認知症の予防・診断・ケアに分かれて細かく書かれています。