「亜麻仁油・えごま油にはどんな効果があるの?」
「そもそも亜麻仁油とえごま油の効果に違いはあるの?」
「亜麻仁油とえごま油の食べ方や注意点はある?」
などの疑問はありませんか?
この記事では、亜麻仁油とえごま油の栄養・効果・食べ方・注意点などについてお話しします。
目次
亜麻仁油とは
亜麻仁油とは、アマ科アマ属で青紫~白色の小さな花を咲かせる一年草の種子から抽出される油です。
α-リノレン酸が豊富に含まれており、その効果が得られる可能性があるとして健康志向の高まりと相まって注目されている食品です。
α-リノレン酸とは、n-3系脂肪酸の一種で体内で作ることができない必須脂肪酸の1つです。
n-3系脂肪酸には、さまざまな健康効果が期待でき、適切に摂取することで生活習慣病予防にもなると考えられていることから、
「日本人の食事摂取基準2020年版」では、生活習慣病予防のための基準である「目標量」が策定されています。
脂質について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
脂質の働きや摂取量、脂質を多く含む食品【高齢者と栄養】また、亜麻仁油には「亜麻リグナン」と呼ばれる、ポリフェノールの一種が含まれています。
「亜麻リグナン」は、大豆イソフラボンのように女性ホルモンに似た働きをするため、
女性の更年期症状を抑えてくれる効果が期待できます。
また、骨粗しょう症を予防する効果やコレステロールを下げる効果も有するとされています。
これが、えごま油との違いになります。
えごま油とは
えごま油とは、荏胡麻(えごま)というシソ科の一年草の種子から抽出される油です。
亜麻仁油と同様に、α-リノレン酸が豊富に含まれていることから、健康志向の高まりと相まって注目されている食品です。
先ほどの説明と同様に、n-3系脂肪酸であるα-リノレン酸にはさまざまな健康効果が期待でき、適切な摂取により生活習慣病予防になると考えられています。
亜麻仁油と異なる点は、
えごま油には「ロスマリン酸」と呼ばれる、ポリフェノールの一種が含まれていることです。
ロスマリン酸には、アレルギー症状を抑える(和らげる)作用などに期待ができます。
また、抗菌・抗ウイルス作用があることから、漬物など食品の腐敗防止にも適しています。
亜麻仁油・えごま油と他の油の比較
植物油に多く入っている脂肪酸の「α-リノレン酸」「リノール酸」「オレイン酸」の含有率を、よく使う油で比較しました。
α-リノレン酸 | リノール酸 | オレイン酸 | |
亜麻仁油 | 14% | 15% | |
えごま油 | 12% | 16% | |
サラダ油 | 6.8% | 34% | 40% |
なたね油 | 7.5% | 19% | |
オリーブ油 | 0.6% | 6.6% | |
ごま油 | 0.3% | 37% | |
大豆油 | 6.1% | 22% |
このように同じ植物油でも、脂肪酸含有量に違いがあります。
亜麻仁油・えごま油は先ほど説明したように、「α-リノレン酸」が多く含まれています。
その他の油には、α-リノレン酸が少ない反面、
なたね油・オリーブ油には「オレイン酸」が多く、
ごま油・大豆油には「リノール酸」が多く、
サラダ油には、「オレイン酸」「リノール酸」ともにある程度含まれています。
このことから、「α-リノレン酸」を摂る場合は、
亜麻仁油・えごま油からの摂取が手っ取り早いということが分かるかと思います。
期待される効果
亜麻仁油・えごま油に共通して期待される効果についてお話しします。
血流改善、血栓予防効果
α-リノレン酸は体内で、DHAやEPAに変換されます。
DHAやEPAには、血液の粘度を低下する(サラサラになる)作用や血栓をできにくくする作用があります。
DHAは脳細胞を活性化する働きもあり、α-リノレン酸が不足すると脳や神経に異常が現れることがあります。
DHA・EPAに関して詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
DHA・EPAの効果や摂取時のポイントなど【高齢者と栄養】アレルギーを抑制する効果
脂肪酸の一種である「リノール酸」を過剰に摂取すると、花粉症や喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を引き起こしやすくなるとされています。
α-リノレン酸には、リノール酸の作用を阻害する働きがあるため、
α-リノレン酸を摂ることでリノール酸の作用が抑えられ、アレルギーの抑制につながります。
LDL(悪玉)コレステロールを減らす効果
1990年でにオランダで行われた研究では、1日60mlの亜麻仁油を2週間摂取したところ、LDLコレステロールと中性脂肪が減少したとしています。
1日60mlの亜麻仁油というのは現実的ではありませんが、α-リノレン酸にはLDLコレステロール、中性脂肪を減らす作用に期待ができ、生活習慣病の予防にもつながります。
うつ症状を軽減する効果
健常者とうつ病患者において、α-リノレン酸などのn-3系脂肪酸脂肪酸の蓄積量を調べたところ、うつ病患者の方が有意に低かったことが明らかになりました。
また、2016 年に発表された研究では,うつ病患者に対し EPA 含量 50%超のn-3系脂肪酸酸が投与すると、
うつ病症状軽減に有効であること、そしてうつ病が重症であるほど効果も大きいことが明らかになりました。
体内でEPAに変換されるα-リノレン酸も不足しないように摂取することが重要です。
亜麻仁油・えごま油の食べ方・注意点
亜麻仁油・えごま油は他の油とは違く、注意点が多いです。
難しい食品ですが、正しく取り扱うようにしましょう。
加熱しないで食べる
α-リノレン酸は熱に弱く、酸化しやすいという特徴があります。
加熱してしまうと、すぐに酸化するため過酸化物質が多く生まれてしまい、n-3系脂肪酸の健康効果どころではなくなり、逆に動脈硬化のリスクを高めてしまいます。
そのため、亜麻仁油・えごま油を食べるときは、サラダにかけたり、ヨーグルトに混ぜるなどして常温以下の温度で食べるようにしましょう。
また、臭いなどが気にならない方はそのまま飲んでいただいても構いません。
さすがにそもままはキツイ、、、でも手軽に食べたいという方は、
大きめのスプーンにはちみつと油を同量注いで食べると、甘くて食べやすく手軽に食べることができます。
1日小さじ1杯(約4g)
1日小さじ1杯(約4g)が適量です。
n-3系脂肪酸(α-リノレン酸)は、生活習慣病予防のために目標量が策定されているほど重要な栄養素ではありますが、
現代人は不足しているため、しっかり摂るようにといわれているだけです。
たくさん摂れば、摂っただけ健康効果が得られるというものではありません。
小さじ1杯の油は、見た目では少なく感じるため足りないと感じる方もいるかもしれませんが、それで十分です。
適正量を守り、過剰摂取はしないようにしてください。
酸化させないように保管する
α-リノレン酸は酸化しやすい特徴があります。
酸化した油は体に悪く、腹痛や胃もたれを引き起こすリスクが高まります。
そのため、酸化を早める条件である「温かい場所での保管」「明るい場所での保管」「空気に触れる」などはNGです。
冷暗所での保管、2週間~1か月で使いきる量の商品を買うことが大切です。
大容量の方が安いからといって、3か月かけて使い切ろうと考えている場合、酸化しすぎてα-リノレン酸の良い効果が得られないでしょう。
おすすめの商品
亜麻仁油とえごま油のおすすめの商品を1つずつご紹介します。
参考程度に、各ECサイトに記載されている商品の口コミと一緒にご覧ください。
内容量 320g
価格 1100円(2024年5月31日ammzon販売価格)
薬物抽出ではなく熱の影響も少ない低温圧搾で絞られており、かつ、フレッシュボトルキープで空気に触れにくいように工夫されている商品です。
内容量は320gとやや多めではあるものの、できる限り酸化しないように工夫されている点を評価しました。
さらに値段もお手頃で試しやすいです。
ただ、一人で使う方は145gの商品の方が良いですね。
内容量 320g
価格 1188円(2024年5月26日ammzon販売価格)
名前の通り有機されており、質が高いです。
また丁寧に酸素に触れないように圧搾されていることや、フレッシュボトルキープで酸化されないように工夫されています。
内容量320gとやや多めですが、酸化防止策がされていることを評価しました。
さらに値段もお手頃で試しやすいです。
ですが、一人で使う方は145gの商品の方が良いですね。
まとめ
亜麻仁油・えごま油にはn-3系脂肪酸の「α-リノレン酸」という脂肪酸が多く含まれています。
α-リノレン酸には、様々な健康効果が期待でき、n-3系脂肪酸として生活習慣病予防のために目標量の摂取基準が策定されています。
期待される効果には、血流改善、血栓予防効果、アレルギーを抑制する効果、LDL(悪玉)コレステロールを減らす効果、うつ症状を軽減する効果などがあります。
また酸化しやすい油で取り扱いが難しいです。特に、加熱しないこと、1日小さじ1杯(4g)程度に抑えること、保管方法に気を付けることが大切です。
それぞれ320gの商品の方が安かったため、おすすめしましたが一人で使う場合は145gの商品の方が良いと思います。
参考
一般社団法人 日本サプリメント協会(後藤典子). ”サプリメント図鑑”.株式会社マイナビ出版,2024年4月,118.131ページ