記事内に広告を含みます

栄養面での白米と玄米の違い【どっちがいいの?管理栄養士解説】

「玄米は栄養豊富で健康にいい」

「白米は糖質が多い」

など、玄米の方が優れていると言われていますが、実際はどうなんでしょうか?

そこで、精白米と玄米の150g当たりの栄養価を比較し、評価てみました。

エネルギー(カロリー)

白米:234kcal

玄米:228kcal

エネルギー(カロリー)は、ほぼ差がありません

「玄米を食べたら痩せる」「玄米はダイエットに良い」と思われている方には注意です。

白米も玄米もほぼ同じエネルギー量ですので、食べたら食べた分だけ体が大きくなると考えて良いでしょう。

エネルギー面では、優劣の差はありません。

糖質

白米:51.9g

玄米:48.0g

糖質(≒利用可能炭水化物)は、玄米の方がやや少ないです。

しかし、糖質4gは誤差でしかなく、ほとんど差が無いといえます。

エネルギー同様、糖質面でも優劣の差はありません。

食物繊維

白米:0.5g(水溶性 0g、不溶性 0.5g)

玄米:2.1g(水溶性 0.3g、不溶性 1.8g)

食物繊維は、玄米の方が4倍多く入っています。

白米と玄米の差1.6gは大きな差です。

現在、成人では食物繊維の摂取量が足りていないといわれているので、主食面でしっかりと食物繊維を摂ることができたら食物繊維不足を解消する一役となります。

また、食物繊維には血糖上昇抑制効果や中性脂肪吸収抑制効果などがあり、生活習慣病予防効果が得られる可能性があることや、

腸内環境を整える作用があるとされていることから、健康への良い効果が期待できます。

食物繊維面では、多く入っている玄米の方が優れています


※精白米はAOAC.2011.25法で測定されていますが、玄米はプロスキー変法での値しか載っていないため、公平に判断するためプロスキー変法での値で比較しました。
 ちなみに、AOAC.2011.25法で測定された精白米の食物繊維量は1.5gとなっています。そうなると、玄米をAOAC.2011.25法で測定すれば、かるく3.0gは超えてくるでしょう(これはあくまで予想)。

ビタミン

出典:amazon.co.jp

先に申し上げますが、ビタミンは玄米の方が多いです。

差のあるビタミンを抽出しましたので、1つずつ見ていきましょう。

※わかりやすいように必要量を記載していますが65~74歳の値です。20歳でもさほど差はありませんので参考までに。

ビタミンE

白米:0㎍

玄米:0.8㎍

ビタミンEは、白米には入っていなく、玄米のみに入っています

ビタミンEは、ビタミンA・Cと並び、抗酸化作用を有するビタミンです。

抗酸化作用には、動脈硬化予防やがん予防などが期待できることから、

ビタミンEが多く入っている玄米の方が優れています

必要量:男性)7.0mg/日
    女性)6.5mg/日

ビタミンB1

白米:0.03g

玄米:0.24g

ビタミンB1は、玄米の方が8倍多く入っています。

ビタミンB1は、糖質代謝に関与するビタミンですので、

糖質の多い米に含まれているということは、非常に相性がいいです。

そのため、ビタミンB1が多く含まれている玄米の方が優れています

必要量:男性)1.3mg/日
    女性)1.1mg/日

ナイアシン

白米:1.2mg

玄米:5.4mg

ナイアシンは、玄米の方が4~5倍多く入っています。

ナイアシンは意外と健康効果が高く期待されている栄養素です。

そのため、ナイアシンが多く含まれている玄米の方が優れているといえます。

必要量:男性)14mgNE/日
    女性)11mgNE/日

ビタミンB6

白米:0.03mg

玄米:0.32mg

ビタミンB6は、玄米の方が10倍ほど多く入っています。

ビタミンB6は、たんぱく質代謝に関与するビタミンですので、

筋トレや運動をする人で、プロテインを摂取ししている方々に重要な栄養素です。

たんぱく質を多く摂る場合は、玄米の方が良いでしょう。

必要量:男性)1.4mg/日
    女性)1.1mg/日

葉酸

白米:5㎍

玄米:15㎍

葉酸も玄米の方が多いですが、

必要量からみると、どちらも微量ですので、優劣の差はありません。

必要量:男女)240μg/日

パントテン酸

白米:0.38mg

玄米:0.98mg

パントテン酸は、玄米の方が3倍多く入っています。

パントテン酸は、糖と脂質の代謝に関与しています。

米には糖質が多く入っていますので、ビタミンB1同様パントテン酸も多く摂れる方が良いでしょう。

そのため、パントテン酸が多く含まれている玄米の方が優れているといえます。

必要量:男性)6mg/日
    女性)5mg/日

ビオチン

白米:0.8㎍

玄米:3.8㎍

ビオチンも玄米の方が多いですが、

必要量からみると、どちらも微量ですので、優劣の差はありません。

必要量:男女)50μg/日

ミネラル

出典:amazon.co.jp

ビタミン同様、ミネラルも玄米の方が多いです。

差のあるミネラルを見ていきましょう。

※ビタミン同様、必要量は65~74歳の値です。

カリウム

白米:44mg

玄米:140mg

カリウムは、玄米の方が3倍ほど多く入っています。

カリウムは血圧の調整に関与しており、ナトリウム(食塩)を多く摂っている人は、カリウムもしっかり摂った方が良いです。

高血圧対策となるため、カリウムが多い玄米の方が優れています

必要量:男性)3000mg以上/日
    女性)2600mg以上/日

マグネシウム

白米:11mg

玄米:74mg

マグネシウムは、玄米の方が7倍ほど多く入っています。

マグネシウムも、血圧との関わりがあることや精神面の安定に大切な栄養素です。

 ストレスを感じやすい現代人には重要な栄養素で、マグネシウムの多い玄米の方が優れています

必要量:男性)350mg/日
    女性)280mg/日

リン

白米:51mg

玄米:200mg

リンは、玄米の方が4倍ほど多く入っています。

リンは骨や歯を構成する大切な栄養素ですが、加工品(ハム・ソーセージなど)に食品添加物として多く使用されているため、

中食・外食をよくする人の場合は、リンを摂りすぎている可能性があるので、白米の方が良いでしょう。

リンは他にも、肉・魚・乳製品などに多く含まれており、現代人はリンを摂りすぎている傾向があるとも言われています。

そのため、リンの多い玄米が優れているとはいえません

必要量:男性)1000mg/日
    女性)800mg/日

白米:0.2mg

玄米:0.9mg

鉄は、玄米の方が4倍ほど多く入っています。

鉄は、酸素の運搬に関わっており不足すると鉄欠乏性貧血になってしまいます。

特に月経のある女性では必要量が多くなります。

また、鉄を多く含んでいる食材は、レバーや豆乳、煮干しなど特定の食材に偏っています。

そのため、鉄が多く含まれている玄米の方が優れているといえます。

必要量:男性)7.5mg/日
    女性)6.0mg/日

マンガン

白米:0.52mg

玄米:1.56mg

マンガンは、玄米の方が3倍多く入っています。

マンガンは酵素の構成や活性化に必要な栄養素です。

また、穀類に多く入っている栄養素であるため、白米にもしっかりと入っています。

玄米の方が優れてはいますが、白米からもしっかり摂れるため気にしなくていいでしょう。

必要量:男性)4.0mg/日
    女性)3.5mg/日

まとめ

白米玄米
エネルギー234kcal228kcal
糖質
(≒利用可能炭水化物)
51.9g48.0g
食物繊維水溶性 –
不溶性 0.5g
水溶性 0.3g
不溶性 1.8g
ビタミンVitE –
VitB1 0.03g
ナイアシン 1.2mg
VitB6 0.03mg
葉酸 5㎍
パントテン酸 0.38mg
ビオチン 0.8㎍
VitE 0.8㎍
VitB1 0.24g
ナイアシン 5.4mg
VitB6 0.32mg
葉酸 15㎍
パントテン酸 0.98mg
ビオチン 3.8㎍
ミネラルカリウム 44mg
マグネシウム 11mg
リン 51mg
鉄 0.2mg
マンガン 0.52mg
カリウム 140mg
マグネシウム 74mg
リン 200mg
鉄 0.9mg
マンガン 1.56mg
栄養成分はどちらも150g当たり

白米と玄米の栄養面では、

食物繊維・ビタミン・ミネラルに関しては玄米の方が多く、優れているといえます。

日本人はビタミン・ミネラルが足りていない人が多いので、主食を玄米に替えてみるのも良いですね。


と、ここまで書いていて、

「主食を白米から玄米に置き換えたら、1日のビタミン・ミネラルの欠乏は回避できるのか」

ということに気になってしまったので、次回はその内容の記事を更新したいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。



参考

日本人の食事摂取基準(2020 年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書(「日本人の食事摂取基準」策定検討会)

令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省)

日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(文部科学省)