「きざみ食って何?」
「きざみ食の大きさや作り方のコツはある?」
などのお悩みはありませんか?
この記事では、きざみ食の特徴、作り方、市販の商品を選ぶときのポイントなどについてお話しします。
目次
きざみ食の特徴
きざみ食とは、咀嚼・嚥下能力が低下した人でも食べやすいように、
食べ物を細かく切った食形態のことです。
きざみ食といっても、1~2cmの粗きざみ~5mm以下の極きざみまであります。
きざみ食が適している人
きざみ食は、ある程度の咀嚼能力が必要なため、
咀嚼・嚥下能力は低下していても、あごの筋力と歯(義歯含む)がある人向けの食形態です。
あごの筋力が無く、きざみ食すらも十分に咀嚼できない場合はソフト食やペースト食に食下げする必要があります。
また、歯が弱ってきたり、義歯を付けていて上手く咀嚼できない人にも適していますが、一部歯が無い人でもきざみ食を食べられる人もいます。
「歯が無くてもきざみ食を食べたい」という方の場合、むせ込みなどの誤嚥リスクが少なければ様子を見ながらきざみ食を食べさせても大丈夫です。
ミキサー食との違い
きざみ食は包丁で細かく切るか、フードプロセッサーでさらに細かく切ります。
そのため、食べ物の残渣が残っていて、ある程度の咀嚼能力が必要な食形態です。
対してミキサー食は、ミキサーでさらに細かくしたものです。
残渣を極力なくした食形態で、咀嚼能力が無くても食べられる食形態です。
食形態のレベルでいうと、
きざみ食 > ソフト食 > ペースト食となります。
きざみ食が食べられるのに、ペースト食まで下げてしまうとあごの筋力(咀嚼機能)を故意に低下させてしまうことになり、老化を早める原因になります。
反対に、ペースト食でないと食べられない方にきざみ食を提供すると、誤嚥の原因となります。
きざみ食とペースト食は作り方は似ていますが、食形態の特徴が大きく異なることを理解しておきましょう。
きざみ食の大きさ
「きざみ食」といっても大きさが異なる場合があります。
また、主食やおやつでは対応が異なります。
粗きざみ
粗きざみとは、1~2cm程度の大きさのきざみ食のことです。
初期のきざみ食へ移行した方に向いています。
作り方は、包丁で切るだけのことが多いです。
極きざみ
極きざみとは、数mm程度(5mm以下)の大きさのきざみ食のことです。
粗きざみが食べられない方や、安全性を重視したい方に向いています。
作り方は、包丁で細かく切る場合もありますし、フードプロセッサーを使って細かくすることもあります。
主食形態
主食形態は粥状が最適です。
ご飯の場合は全粥が最適ですが、食嗜好に合わせ軟飯を提供する場合もあります。
しかし、むせ込みや咀嚼・嚥下のしづらさがみられるようであれば、全粥にしましょう。
パンの場合は、耳なし食パンのように柔らかければ食べられる可能性もあります。
しかし、むせ込みや咀嚼・嚥下のしづらさ、もしくは、一度に多くの量を口の中に入れてしまうような方の場合は、
パン粥が良いでしょう。
麺類の場合は、フードプロセッサーできざむようにしましょう。
きざみ食対応になる時点で、摂食嚥下能力が低下しており、麺を吸い込む動作が難しくむせ込みやすくなっている方が多いです。
麺をきざみ、スプーンで食べるのが最適です。
シリアル類は硬く噛みにくいため、また、口腔内で食塊を作りにくいため、きざみ食の方には適していません。
おやつ・その他
おやつは、ゼリー、プリン、アイス、羊羹などの咀嚼が容易なものを選びましょう。
せんべいやクッキーなどは難しいです。
せんべいやクッキーを細かくきざんだとしても、水分が少なくむせ込みやすいです。
果物は、きざまなくても薄切りにすれば食べられる人もいます。
ただ、果物はきざむと酸化して色が悪くなるものもあるので、
バナナやもも、りんごなどはそもそも食材がきざみに適していないです。
飲み物に関しては、とろみが必要な方と不要な方がいますので、
必ずしもとろみを付けないといけないわけではありません。
きざむ必要のない物
豆腐、ひき肉などはきざむ必要が無いです。
ミートボールやハンバーグのように固形状の場合はきざむ必要がありますが、
「豆腐のひき肉あんかけ」などは、そのまま食べられます。
きざみ食の作り方
きざみ食の作り方は簡単ですが、食材ごとにやや異なる対応が必要なこともあります。
包丁で細かく切る
包丁で細かく切ることのメリットは、
見た目がきれいなこと、大きさの調節ができること、少量でも作れることです。
反対にデメリットは、手間がかかることが上げられます。
特に、魚料理などは包丁で細かく切ったほうがきれいだと思います。
フードプロセッサーできざむ
フードプロセッサーできざみことのメリットは、
かたい物でもきざむことができる、手間がかからない、一度に多くの量をきざめることです。
反対にデメリットは、ある程度の量が無いと刻むことができない、大きさの調整が難しいことです。
麺類を刻むときはフードプロセッサー一択です。
フードプロセッサーに麺と水を入れて数秒きざみ、1~2cm程度になったら水を切って完成です。
煮物など汁気のあるものをフードプロセッサーできざむと、水分が多くサラサラの液体に近い状態になります。
嚥下能力の低下している人の場合、サラサラの液体は誤嚥しやすいので、
フードプロセッサーできざみ終えたら、とろみ剤を加えてさらに混ぜ、ある程度の粘度を保たせるようにすると良いでしょう。
肉や魚などをフードプロセッサーできざむと、水分の少ない練り物のような状態になり、見た目が悪くなってしまいます。
あんかけやタレをかける料理のときは問題ありませんが、ハンバーグなどは包丁できざんだ方がきれいです。
ぼそぼそする場合はあんかけをかける
とくに魚は、きざむとぼそぼそとしてしまいます。
ぼそぼそとした水分の少ない形態だと、食べにくい場合がありますので、
あんかけを作り、料理にかけてあげるか添えてあげるなどして、ぼそぼそとした食材と一緒に食べ、口の中でまとまりやすくしてあげると良いでしょう。
市販のきざみ食
市販の商品を選ぶときのポイントについてお話しします。
「歯茎でつぶせる」と記載してあるものがおすすめ
ユニバーサルフードデザインが記されているものがあります。
その場合は、「歯茎でつぶせる」が、きざみ食相当になります。
「容易に噛める」→軟菜食相当
「舌でつぶせる」→ソフト食相当
「噛まなくて良い」→ペースト食相当
ですので、「容易に噛める」以外のものでしたら、食べることは可能ですが、
残存機能を維持するためにも、少なからず「咀嚼が必要なもの」を選ぶようにすることが大切です。
残渣があるものを選ぼう
これらの商品のように、一般消費者でも分かりやすいようにユニバーサルフードデザインの表記があるものが多いですが、
ユニバーサルフードデザインの無い商品もあります。
その場合は、明らかなペースト状の物ではなく、食材の残渣があるような商品を選ぶようにしましょう。
そうすることで、あごの筋力の維持に役立ちます。
まとめ
きざみ食とは、咀嚼・嚥下能力が低下した人でも食べやすいように、食べ物を細かく切った食形態のことです。
咀嚼・嚥下機能が少し低下しているものの、あごの筋力や歯はあり、咀嚼が可能な人に適しています。
きざみ食とミキサー食では、見た目は似ていますが、咀嚼の必要性などの特徴が大きく異なるため、選択を間違えないようにする必要があります。
「きざみ食」といっても大きさの違いや、主食は粥状であることなど、広域な意味があります。
作り方も「きざむだけ」ですが、包丁できざんだり、フードプロセッサーを使用したり、ときにはとろみ剤を使って粘度調整する必要があります。
市販の食品を選ぶ際は、「歯茎でつぶせる」と書かれているものを選ぶようにすると良いでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。