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アルギニンとは?効果や必要量など【褥瘡の栄養管理】

メイバランスArgに入っている、「アルギニン」にはどういう効果があるんですか?

など、栄養補助食品になぜ「アルギニン」が入っているのか気になっている方が多いと思います。


とはいえ、ネットで「アルギニン」と検索すると、「性欲」「精力剤」などの検索ワードが出てきます。

そうなると余計、「???」となるのではないでしょうか。

この記事では、栄養補助食品にになぜ「アルギニン」が入っているのか。アルギニンの効果や必要量などについてお話します。

アルギニンとは

アルギニンとはアミノ酸の1種(たんぱく質)です。

体内でも合成できる非必須アミノ酸です。

アルギニンの効果

アルギニンは成長ホルモンの分泌や筋肉組織の増強、免疫力の向上に効果的なアミノ酸の一種です。

アルギニン(わかさの秘密)

アルギニンには、様々な健康効果が期待できるとされており、各方面から注目されています。


一部では、精力アップに期待ができるとし、精力剤に使われ、

一部では、筋トレに効果的とされ、マッチョマンに人気です。



また、臨床面においては褥瘡の栄養管理に効果的であると考えられています。

根拠となる論文がいくつも発表されています。

北里大学東病院が発表したものを例として紹介します。※1

70歳代、男性、パーキンソン病の患者です。

3年前より動作の鈍さ、8か月前に幻覚症状出現、2週間前より食欲が低下し、その後水分摂取もできなくなり、入院日には声掛けにも反応しなくなった。

入院時には3か所の褥瘡がみられた。

その後、栄養管理や除圧、ドレッシング剤を使用し局所ケアを務めたが、300病日を過ぎても改善を認めなかった。344病日よりアルギニン入りの栄養剤(アイソカルプラスEX)の投与を開始したところ、褥瘡は顕著に改善し、498病日にポケットは完全消失した。


もちろんアルギニンだけで、褥瘡が治癒したわけではなく、適切な看護ケア、塗り薬など様々な要因はあると思いますが、なかなか治らなかったところ、アルギニン入り栄養剤を投与して、改善したという内容の物であり、アルギニンが褥症治療に貢献したことがわかります。

このように、アルギニンは褥瘡における食事療法の一環として使用されることがあります。

アルギニンの必要量

アルギニンの必要量は定められていません。

体の中で合成できるため、健常者では特に注意すべきではないからです。


また、褥瘡治療においては1日7500㎎以上の摂取で、効果が出たとする論文が多いことから、7500㎎を目安にしています。

結局アルギニンは必要なのか

一般判断で取り入れる必要はない。


褥瘡管理に効果的とは言いましたが、アルギニンは重度侵襲の敗血症患者などでは、一酸化窒素の産生が高まる可能性があり炎症が遷延することがあるため、患者の状態に応じて慎重な補給を心がける必要があります。

褥瘡治療は管理栄養士一人で判断できるものではありません。

医師、看護師、管理栄養士、薬剤師などが密に連携して対策している病院・施設がほとんどです。

個人の判断でアルギニンを取り入れる必要はないと思います。



しかし、アルギニンには様々な効果があり、マッチョマンが取り入れているのも事実です。

褥瘡治療のためではないが、他の健康効果に期待して取り入れたいという方もいると思います。

そのような方はアルギニン1日3000㎎ほどを目安に補食選びをしてみてください。

まとめ

アルギニンとは非必須アミノ酸の一種です。

臨床現場などでは褥瘡の栄養管理に使われることが多い栄養素です。

そのため、栄養補助食品にもアルギニンが入っているものがありますが、健康な人があえて摂取する必要はないでしょう。






医師・栄養士の指導を受けている方は、指導に基づいて使用されることを推奨します。
また、栄養補助食品の多量摂取により、健康が増進するものではありません。
食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、バランスの良い食事を心がけましょう。

参考
※1「難治性褥瘡患者に対するアルギニン配合高濃度液状栄養食の使用経験」太田裕子、野口球子、松原康美(日本栄養士雑誌、第51巻、第5号、2008年)