記事内に広告を含みます

高齢者の貧血で認知症や食欲不振に⁉【高齢者と健康】

「病院で検査をしたときに、ヘモグロビンが少ないと言われたんですが、どうしたらいいですか?」

「少しボケてきてるのかと思ったら貧血でした。おすすめの栄養補助食品を教えてください。」

などのお悩みはありませんか?

この記事では、高齢者の貧血で起こること、鉄を多く含む食品などについてお話しします。

貧血とは

WHOは年齢を問わず貧血をヘモグロビン(Hb)濃度により男性13g/dl未満、女性12g/dl未満と定義しています。※1

頻度の多い貧血① 鉄欠乏性貧血

栄養障害による鉄欠乏と慢性出血による鉄喪失が主な原因です。

治療方法は鉄剤の内服で、血清フェリチン値が正常化するまで投与を継続します。

頻度の多い貧血② 老人性貧血

ヘモグロビン(Hb)が9−11g/dlの貧血が1年以上続き、かつ原因疾患を特定できないものを「老人性貧血」と呼ぶことがあります。

加齢に伴うさまざまな要因が影響して赤血球造血が抑制されると考えられています。

老人性貧血では治療の必要はないですが、何らかの病気が隠れている可能性があるため、定期的な受診が重要です。

高齢者の貧血で起こること

高齢者の貧血の特徴は、活動量の低下により典型的な症状(動機・息切れなど)に気づきにくく、

自覚症状を感じないことがあるということです。

また、オランダの研究で、たとえ軽度でも貧血がある高齢者では、貧血がない高齢者に比べて認知症を発症するリスクが上昇し、アルツハイマー病のリスクは41%高くなると発表されました。※2

輸血に詳しい笠井雅信医師によると、高齢者貧血症状の特徴は動脈硬化に基づく脳血管障害や循環器疾患を背景に、認知障害などの精神神経症状、狭心症などの循環器症状、食思不振などの消化器症状など、多彩な症状が出ることとしています。※3

鉄欠乏チェック

高齢者の貧血は気づきにくいため、「なんとなく元気がない」「疲れやすい」と感じたら、

まずは簡単な自己チェックをしてみましょう。

鉄欠乏チェック

▢ かたいものを噛みたくなる(氷、飴など)

▢ 爪に丸みが少ない、割れやすい、やららかい

▢ 脚がムズムズする、落ち着きがない

▢ 疲れやすい、軽い運動でも動機・息切れ

▢ 冷え性

▢ 髪の毛が抜けやすい

▢ のどに不快感がある、飲み込みにくい

▢ 頭痛、頭が重い、めまい・立ちくらみがある

▢ イライラしやすい

▢ アザができやすい

▢ 歯茎から出血しやすい

▢ 出血が多い(痔・胃潰瘍など)

▢ 肉・魚をあまり食べない

▢ 出産経験がある



チェックの数が、

4つ以上は黄色信号!

6つ以上は赤信号!

(チェックシートはあくまで目安です。診断を確定するものではありません。疑われる症状がある場合は専門医を受診することを推奨します。)

(奥平智之「最新版 マンガでわかる ココロの不調回復 食べてうつぬけ」,2022年より一部改変)

鉄の必要量

鉄の摂取量は、日本人の食事摂取基準2020年版において、

推定平均必要量、推奨量、耐用上限量の3つが定められていますが、

ここでは特に重要な推奨量と耐用上限量をお伝えします。

推奨量

耐用上限量

注意点

推奨量は上記の通りで、バランスの良い食事を摂れている方は、不足することは無いかと思います。

また、鉄の過剰摂取では生活習慣病の発症リスクになることが多数報告されています。

そのため、貧血の治療および予防が必要でない限り、鉄の過剰摂取には注意が必要とされています。

耐用上限量は超えないようにしてください。

高齢者向けの介護食も
一緒にチェック!

鉄を多く含む食品

鉄欠乏性貧血の方もしくは貧血の予防が必要な方は、鉄分を多く含んだ食材を食べるようにしましょう。

また、食材に含まれている鉄量は多くないため、しっかりと摂りたい場合は栄耀補助食品の活用も検討してみてください。

鉄を多く含む「食材」

鉄はレバーや貝類に比較的多く含まれています。

食品名鉄(mg)
豚レバー13.0
鶏レバー9.0
しじみ8.3
赤貝5.0
小松菜2.8
ほうれん草2.0
黒砂糖4.7
食品(生)100g当たり

ほとんどの食品に0.5~1.5mgほど鉄が入っていたため、

様々な食材を食べるようにすれば、摂取不足で鉄が欠乏することは無いでしょう。

鉄を多く含む「栄養補助食品」

鉄が多く含まれている食材を毎日食べる事は難しいと思いますので、

栄養補助食品の活用も検討してみてください。

アイソカルゼリーミネラルプラス

(出典:amazon.co.jp

鉄が7.0mg入っています。


他にも「カルシウム」「リン」「亜鉛」「銅」「セレン」「ビタミンD」が強化されています。


これらの栄養素は、乳類・魚介類・ナッツ類に多く含まれている栄養素であるため、これらの食材を食べる機会が少ない方におすすめです。


ミネラルには過剰摂取の心配があるため、1日1個までにしましょう。

CP10

(出典:amazon.co.jp

鉄が5.0mg入っています。


他にも、たんぱく質・ビタミン・ミネラルが強化されています。


たんぱく質の不足は低栄養の原因にもなるため、食事摂取量が減っている方に特におすすめです。


これもミネラルの過剰摂取の心配があるため、1日1個までにしましょう。

エンジョイカップゼリー

(出典:amazon.co.jp

鉄が5.0mg入っています。

他にもビタミン・ミネラルある程度配合されています。


五大栄養素がバランスよく摂れる商品ですので、全体的に食事摂取量が減った方や、栄養バランスの偏っている食生活を送っている方におすすめです。


2個食べても過剰摂取の心配は少ないですが、鉄分補給のためであれば1個で十分です。

ふりかけ 鉄之助

(出典:amazon.co.jp

鉄が3.0mg入っています。

含有量で見ると、他の栄養補助食品に劣りますが、ご飯にかけるだけで鉄が摂れる手軽さが魅力です。


他に強化されている栄養素は亜鉛1.2㎎のみのため、過剰摂取の心配もなく食べることができます。


今は健康で貧血ではない方も予防として使える一品です。

まとめ

WHOは年齢を問わず貧血をヘモグロビン(Hb)濃度により男性13g/dl未満、女性12g/dl未満と定義しています。

よく見られる貧血は、鉄欠乏性貧血と老人性貧血です。

高齢者では自覚症状が少ないため注意が必要です。

鉄の推奨量はそこまで多くないため、バランスの良い食生活を送っていれば不足することはありません。

また、過剰摂取では生活習慣病のリスクとなるため、耐用上限量を超えないようにしてください。

貧血もしくは予防が必要な方は、鉄を多く含む食品を食べるようにしましょう。




医師・栄養士の指導を受けている方は、指導に基づいて使用されることを推奨します。
また、栄養補助食品の多量摂取により、健康が増進するものではありません。
食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、バランスの良い食事を心がけましょう。

参考

※1 Haemoglobin concentrations for the diagnosis of anaemia and assessment of severity

※2 Hemoglobin and anemia in relation to dementia risk and accompanying changes on brain MRI,Frank J Wolters,et al.Neurology,2019; 93: e917-e926

※3 高齢者の貧血について~老人性貧血=“Unexplained Anemia”というのもあります~(国立長寿医療研究センター)

高齢者の貧血をどう診るか,森 眞由美,(日老医誌 2008;45:594―596)

日本食品標準成分表2020年版(八訂)(文部科学省)

奥平智之「最新版 マンガでわかる ココロの不調回復 食べてうつぬけ」,主婦の友社,2022年11月,50~51

↑その他にも、血糖に関して、栄養素、奥平式食事栄養療法(奥平先生の症例)などが書かれています。