「炭水化物ってどんな働きをしているんだろう?」
「炭水化物は1日にどのくらい摂ればいいんだろう?」
などのお悩みはありませんか?
この記事では、炭水化物の働きや摂取量、炭水化物を多く含む食品などについて説明します。
目次
炭水化物とは
炭水化物とは、単糖を構成成分とする物質です。
体内での主要なエネルギー源として重要な栄養素です。
炭水化物は、エネルギー産生栄養素(三大栄養素)の一つで、
1g当たり 約4kcalのエネルギーを持ちます。
炭水化物は、
体内で消化されてエネルギーとなる「糖質」と
ヒトの消化酵素では消化できない「食物繊維」に分けられます。
糖質は、単糖類・少糖類(オリゴ糖)・多糖類に分けられます。
単糖類は、それ以上分解することができない「グルコース(ブドウ糖)」や「フルクトース(果糖)」などの重要な糖で、エネルギー源としても良く利用されます。
少糖類(オリゴ糖)は、2~10個の単糖類が結合したもので、「マルトース(麦芽糖)」や「スクロース(ショ糖)」、「ラクトース(乳糖)」などがあります。
多糖類は、グルコースが多数結合した貯蔵型の糖類で、「でん粉」や「グリコーゲン」などがあります。
よく聞くのが、「ブドウ糖」「オリゴ糖」「でん粉」「食物繊維」などと思いますが、
これらからも分かるように、炭水化物は細分類によって栄養学的意味が異なります。
(ブドウ糖は集中力、オリゴ糖は腸内環境など)
炭水化物の役割
エネルギー源となる
炭水化物の重要な役割はエネルギー源になることです。
炭水化物は約4kcal/gのエネルギーを産生します。
炭水化物のなかでも、単糖類のグルコース(ブドウ糖)が最も重要なエネルギー源となり、
脳、神経組織、赤血球、腎尿細管、骨格筋などで利用されます。
この中でも、特に脳での消費エネルギー量が多く、総基礎代謝量の20%を消費すると考えられています。
また、脳はグルコースしかエネルギーとして利用できないため、グルコース(ブドウ糖)が足りなくなると、
集中力が切れ、ボーっとしてしまいます。
食物繊維による生理作用
食物繊維による生理作用は健康に貢献すると注目されており、以下の効果が期待できます。
・整腸作用
・食後血糖値上昇抑制
・食後中性脂肪上昇抑制
・血液中のコレステロール濃度低下
など他にもいくつかの生理作用を有しているとされています。
炭水化物の1日の摂取量
炭水化物の摂取量は、日本人の食事摂取基準2020年版において、
と生活習慣病の発症予防を目的とする「目標量」の値で定められています。
また、炭水化物の一つである食物繊維も「目標量」として摂取基準が定められています。
炭水化物の目標量設定は、「たんぱく質」「脂質」とは異なります。
たんぱく質は、摂取不足によるフレイル予防など
脂質は、過剰摂取による肥満防止など
しっかりとした理由がありましたが、
炭水化物はエネルギー源以外に大きな役割が無いこと、糖尿病以外の健康障害を有しにくいことなどから、
たんぱく質及び脂質の残り分として目標量が決められています。
炭水化物の目標量
食物繊維の目標量
まとめると…
炭水化物は、脳や筋肉でのエネルギー源として重要ですのでしっかりと摂りましょう。
また、食物繊維には様々な健康効果が期待できるので、積極的に摂るようにしましょう。
例えば1日1800kcalを摂取する場合、
炭水化物:225∼292.5g
そのうち食物繊維として20(17)g以上
摂りましょうね。といった感じです。
※糖質の最低必要量について
脳が総基礎代謝量の20%のグルコース(ブドウ糖)を使用します。
基礎代謝が1500kcal/日とすると、脳のエネルギー量は300kca/日となり、これはブドウ糖75g/日に相当します。
脳以外にも、生体内でグルコースが使用されることを考慮し、ブドウ糖の必要量は少なくとも100g/日と推定されています。
このことから、糖質も最低100g/日は必要と推定されています。
炭水化物の過不足
炭水化物を摂りすぎると
炭水化物の多い食事は、主食やお菓子などであり、
配慮を欠くと、それのみでお腹を満たしてしまう場合もあります。
例えば、朝食をパンのみで済ます場合や、流行のスイーツでお腹を満たしてしまう場合などが考えられます。
そうすると、ビタミンやミネラルの摂取不足が生じ、体の不調が生じてきます。
また、糖質を摂りすぎると膵臓を働かせすぎてしまうため、2型糖尿病になるリスクが高まります。
さらに、エネルギーの摂取量が消費量を上回った場合、肥満になり生活習慣病のリスクとなってしまいます。
摂りすぎないようにした方が良いですが、良い働きが期待できる食物繊維の摂取量が少なくならないように配慮することが大切です。
炭水化物が不足すると
炭水化物が不足すると、エネルギー量が不足するために、
集中力の低下や疲れを感じやすくなる、目まいが起こるなどの心身の不調が生じてきます。
また、ダイエットのためにあえて炭水化物(糖質)を減らしている方もいると思いますが、
それをすることにより一時的に痩せることは可能ですが、体が飢餓状態になったと勘違いし、エネルギーを蓄えようと体質を変えてしまいます。
それにより、リバウンドしやすくなり、かつ痩せにくい体になってしまう可能性があります。
炭水化物と他の栄養素の関係
炭水化物と脂質
炭水化物(グルコース)と脂質(脂肪酸)はともにエネルギーを産生できる重要な栄養素です。
エネルギーとして使われずに余ったグルコースは脂肪酸に変換され貯蔵されます(体脂肪)。
そして、体内のグルコースが足りなくなると脂肪細胞から脂肪酸が放出され、脳以外のエネルギーとなります。
(脳はグルコースしかエネルギーとして使えません。)
このようにして、体内にエネルギーを供給しています。
しかし、脂肪酸からグルコースは作られないため、脳を動かすためにも炭水化物を摂らないといけません。
炭水化物とたんぱく質
摂取したエネルギー量が必要エネルギー量に満たない場合、筋肉などを構成しているアミノ酸が分解されエネルギー源として使われてしまいます。
炭水化物をしっかりと摂取していれば、アミノ酸が使われずに済むので、
運動やリハビリなどをする場合はたんぱく質も必要ですが、炭水化物も必要だという事を覚えておきましょう。
炭水化物とビタミンB1
ビタミンB1は炭水化物を代謝する際に必要な補酵素です。
ビタミンB1が無いと、炭水化物が上手く代謝されずに、エネルギー不足などが生じる可能性があります。
また、炭水化物をたくさん摂ると、ビタミンB1が消費されるため、肌荒れや脚気などを引き起こす可能性が高まります。
炭水化物を摂る際には、ビタミンもしっかり摂るようにしましょう。
炭水化物を多く含む食品
炭水化物は、穀類・いも類・砂糖類などに多く含まれています。
日常的に使用される食品のなかで、たんぱく質が多い食品をまとめてみました。
穀類
ご飯 | 34.6g |
スパゲッティ ゆで | 28.5g |
中華めん ゆで | 25.2g |
そば ゆで | 24.5g |
うどん ゆで | 19.5g |
角型食パン | 44.2g |
いも類
さつまいも | 24.8g |
ながいも | 13.8g |
さといも | 10.3g |
じゃがいも | 8.5g |
砂糖類
グラニュー糖 | 99.9g |
上白糖 | 99.3g |
黒砂糖 | 88.9g |
てんさい含蜜糖 | 85.4g |
その他
あずき ゆで | 18.3g |
西洋かぼちゃ | 15.9g |
バナナ | 21.1g |
カステラまんじゅう こしあん | 61.6g |
菓子類は1つしか載せませんでしたが、他の菓子類にも炭水化物は多く入っています。
まとめ
炭水化物とは、単糖を構成成分とする物質です。
体内での主要なエネルギー源として重要な栄養素です。
1日の摂取量は、生活習慣病の発症予防を目的とする「目標量」が定められています。
炭水化物を摂りすぎると肥満などに、不足すると心身の不調が起こる可能性があるので注意しましょう。
炭水化物を摂るときはビタミンも一緒に摂るようにしましょう。
炭水化物は、穀類、いも類、砂糖類などに多く含まれています。
参考
林淳三 「三訂 基礎栄養学」,建帛社,2016年12月,39~51ページ