「ときどき、カルニチン配合と書かれているものがありますが、カルニチンとは何ですか?」
「カルニチンが入っている栄養補助食品を教えてほしい」
などのお悩みはありませんか?
この記事では、カルニチンの効果や多く含む食べ物、カルニチンが摂れる栄養補助食品などについてお話します。
目次
カルニチンとは
カルニチンは必須アミノ酸であるメチオニンとリジンをもとに、主に肝臓、腎臓、脳で生合成される物質です。
アミノ酸と似た構造を持っていることが特徴です。
生体内においては、脂質の代謝に関与しています。
近年、カルニチンの生体における重要な役割が明らかになり、様々な効果が期待されています。
普通の食事を取っている健常者では、不足することは無いとされており、
かつ、カルニチンの血中濃度は身体が調整しているため、
サプリメントなどを利用して多量に摂取しても、追加の利益は無いとも言われています。
ただし、筋肉量が少ない乳幼児、女性、 高齢者やサルコぺニアを伴った方では、
カルニチン欠乏症になる可能性が高いとされています。
役割・期待される効果
カルニチンは、長鎖脂肪酸(脂質)をミトコンドリア内へ運ぶことで、脂肪酸の燃焼をサポートしています。
〈ミトコンドリアの役割〉
細胞内で糖質や脂質からエネルギーを作り出します。
カルニチンのこの作用により、過度に脂肪をため込むのを防ぐ可能性に期待されています。
カルニチンには、運動パフォーマンスを向上させたり、筋肉疲労を軽減する効果が期待できるとされています。
どういう事かというと、、
大きなエネルギー源の脂質(1g当たり9kcal)を利用することで、長時間の運動が可能になります。
また、脂質利用の増加により糖質利用が減り、疲労を感じにくくなる可能性があります。
上記の他にも、
・赤血球形状の保全
・細胞内のアンモニア貯留の抑制
などの役割を有しています。
カルニチンを多く含む食品
食品名 | カルニチン含量 (mg/100g) |
羊肉(マトン) | 208.9 |
牛肉(ランプ) | 130.7 |
子羊肉(ラム) | 80 |
豚肉(ロース) | 69.6 |
牛肉(ヒレ) | 59.8 |
鶏肉(もも) | 32.8 |
あさり | 23.8 |
牡蠣 | 23.1 |
タイ | 19.6 |
サンマ | 16.6 |
アジ | 14.3 |
カルニチンは特に赤身の肉類に多く含まれ、
他にも、魚介類、乳類などに含まれています。
肉や魚を食べないベジタリアン・ヴィーガンの方や、
食事摂取量が減少している高齢者、
長期静脈栄養・経管栄養施行患者などではカルニチン欠乏に注意が必要です。
カルニチンを摂るときのポイント
健康な小児および成人は、1日に必要なカルニチンを体内で十分に合成できるため、食物から摂取する必要はないとしており、日本では摂取目安量は設定されていません。
しかし、外国では摂取目安量が設定されている国もあり、
アメリカ:20mg/kg
スイス:1000mg/日
となっています。
カルニチンサプリメントを約3 g/日摂取した場合、
吐き気、嘔吐、腹部痙攣、下痢、「生臭い」体臭などの副作用を引き起こす場合があるとされています。
高齢者用に販売されている栄養補助食品の中に、ここまで高容量含有している商品はありませんので、
栄養補助食品は問題ありませんが、サプリメントや健康食品の中には、高容量含有しているものもありますので注意してください。
カルニチンが摂れる栄養補助食品
基本的にはカルニチンを積極的に摂取する必要は無いですが、
食事摂取量が減少している高齢者では、カルニチン含有の栄養補助食品を選択することで不安の解消につながります。
そこでカルニチン入りの栄養補助食品をご紹介します。
カルニチン50mg
他にも、
たんぱく質10g
BCAA2500mg
DHA・EPA830mg
が強化されていることが特徴。
基本的には、リハビリ前後に使うことがおすすめの商品。
たんぱく質による筋力の維持・増強
BCAAによる筋疲労軽減効果
DHA・EPAによる抗炎症作用
カルニチンによる、脂肪燃焼・筋肉疲労軽減効果
に期待ができる商品。
BCAAやDHA・EPAについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
BCAAの効果や摂取時のポイントなど【高齢者と栄養】 DHA・EPAの効果や摂取時のポイントなど【高齢者と栄養】カルニチン30mg
他にも、
食物繊維6.0g
高分岐デキストリン
MCT4.1g
脂質エネルギー比率40%
糖質エネルギー比率41%
と糖質の吸収に配慮された商品。
主に、糖尿病や血糖値を気にしている人のエネルギー補給目的で使用する商品。
糖質含有量を少なくし、脂質含有量を多くしているため、脂質を多く摂ってしまう構造になっており、
MCT(中鎖脂肪酸)によるエネルギーの消費、
カルニチンによる長鎖脂肪酸のエネルギー産生をサポートすること、
これらにより、脂質が体内に蓄積することを防ごうと設計されている商品であると考えられる。
デキストリン、MCTに関して詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
デキストリンとは、危険性は無いのか【高齢者と栄養】 MCT(中鎖脂肪酸)の効果や摂取時のポイントなど【高齢者と栄養】カルニチン30mg
他にも、
(ホエイ)たんぱく質10g
BCAA2500mg
糖質の吸収に配慮した糖質組成
MCT配合
と運動時の栄養補給に特化していることが分かる。
基本的には、リハビリ前後に使うことがおすすめの商品。
脂質含有量は多くなく適量であり、かつMCTを配合していることから、200kcal全てが運動時のエネルギー源になるように工夫されている商品。
ホエイに関して詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
ホエイプロテイン(乳清タンパク質)の効果や摂取時のポイントなど【高齢者と栄養】カルニチン20mg
他にも、
脂質13g
脂質エネルギー比率58%
MCT6g
72g、200kcal
と少量高カロリーに設計された商品。
主に、食事摂取量が減っている、もしくは体重増加をしたい人に適している商品。
少量高カロリーを実現するために脂質含有量を増やしており、MCTを使用する工夫はされているが、普通の脂質も多く含まれている。
それら脂質の消費を促せるようにカルニチンが配合されている商品。
まとめ
カルニチンは必須アミノ酸であるメチオニンとリジンをもとに、主に肝臓、腎臓、脳で生合成される物質です。
アミノ酸と似た構造を持っていることが特徴です。
生体内においては、脂質の代謝に関与しています。
脂肪燃焼をサポートする役割や、筋肉疲労を軽減する効果などに期待ができます。
食品では赤身の肉に多く含まれています。
カルニチンは健常な成人であれば、体内の生合成によるものだけで十分であるため必要量は定められていません。
しかし、高齢者やサルコペニアを伴った方ではカルニチン欠乏状態になる可能性が高く、注意が必要です。
カルニチンを意図的に摂取する場合は、1000mgを上限とした目安での摂取が良いでしょう。
そんなカルニチンが入っている栄養補助食品を紹介しました。
医師・栄養士の指導を受けている方は、指導に基づいて使用されることを推奨します。
また、栄養補助食品の多量摂取により、健康が増進するものではありません。
食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、バランスの良い食事を心がけましょう。
参考
カルニチンとは?7つの効果と適切な摂取方法(ナイトプロテインPLUS)