「PFC比(PFCバランス)とは何ですか?」
「栄養補助食品紹介の欄に書いてあるPFC比の見方を教えてほしい。」
などのお悩みはありませんか?
この記事では、PFC比とは何か、PFCの適正比率、栄養補助食品との関係などについてお話しします。
目次
PFC比とは
PFC比率(PFCバランス)とは、エネルギー産生栄養素バランスとも言い、
エネルギーを産生する栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物)が、総エネルギー量に占める割合を言います。
「PFC」は各栄養素の英語表記の頭文字を取った略称です。
(たんぱく質”Protein”、脂質”Fat”、炭水化物”Carbohydrate”)
たんぱく質(P)
働き:主に血や肉になる栄養素です。
エネルギー(1g当たり):4kcal
たんぱく質の働きや摂取量、たんぱく質を多く含む食品【高齢者と栄養】脂質(F)
働き:主に体を動かすエネルギー源になります。からだに貯蔵されやすいです。
エネルギー(1g当たり):9kcal
脂質の働きや摂取量、脂質を多く含む食品【高齢者と栄養】炭水化物(C)
働き:主に体を動かすエネルギー源になります。素早く使われやすいです。
エネルギー(1g当たり):4kcal
これら3つの栄養素を「エネルギー産生栄養素」と言います。
食品中に含まれているエネルギー産生栄養素の総エネルギー量に占める割合を、PFC比(PFCバランス)と言います。
具体的に説明していきます
商品A
エネルギー:200kcal
たんぱく質:10g
脂質 :10g
炭水化物 :17.5g
という商品があるとします。
各栄養素のエネルギー量は、
たんぱく質:10 (g) × 4 (kcal) = 40 (kcal)
脂質 :10 (g) × 9 (kcal) = 90 (kcal)
炭水化物 :17.5 (g) × 4 (kcal) = 70 (kcal)
総エネルギーに対する各割合は、
たんぱく質:40 (kcal) ÷ 200 (kcal) = 0.2 (20%)
脂質 :90 (kcal) ÷ 200 (kcal) = 0.45 (45%)
炭水化物 :70 (kcal) ÷ 200 (kcal) = 0.35 (35%)
PFC比は、「 20:45:35 」となります。
(分かりにくかったらごめんなさい、、。)
このように、食べ物(食材・食品・料理)には必ずPFC比があります。
PFC比の重要性
PFC比は、要は栄養バランスです。
PFC比を意識することで、各栄養素の摂取不足を回避することができます。
たんぱく質は、血や筋肉となり、
脂質は、細胞膜などになり、
炭水化物は、エネルギー源となるなど、一つでも不足すると身体に悪影響が生じてきます。
逆に必要以上に摂取された栄養素は体脂肪として蓄積されるため、生活習慣病などのリスクが上昇してしまいます。
適正なPFC比率を意識することで、比較的健康に過ごすことができると言えます。
PFCの適正比率
PFCの適正比率は、摂取不足の回避と、生活習慣病の発症予防・重症化予防を目的として設定されています。
そのため、日本人の食事摂取基準(2020年版)では「目標量」として以下のように定められています。
(65歳以上男女共通)
たんぱく質: 15~20 %
脂質 : 20~30 %
炭水化物 : 50~65 %
1日の食事バランスを、この割合に当てはまるように意識しましょう。
この値に当てはまれば、どんなバランスでもいいのですが、
基本的には、初めに「たんぱく質」、次に「脂質」、余った分を「炭水化物」と決めるのが適切とされています。
管理栄養士が献立を作成する際も、たんぱく質から決めていきます。
例として私のおすすめ比率をお伝えします。(基礎疾患を抱えていない方のみ)
高齢者では、筋力の低下による身体活動量の低下が問題になっています。
そのため、筋肉を作る栄養素であるたんぱく質は、MAXの20%と設定します。
脂質の摂りすぎは、体脂肪の増加や生活習慣病の悪化につながる恐れがあるので、摂りすぎないようにしたいですが、減らしすぎても良くないので、間をとって25%と設定します。
炭水化物は余りの55%です。
よって「 20:25:55 」をおすすめします。
※これが絶対ではありません。
「 15:25:60 」なども一般的です。
とはいっても、基礎疾患(糖尿病、腎臓病など)を患っている方は、それらに対する最適な栄養管理がありますので、
この値は、あくまでも基礎疾患の無い方限定の話です。
栄養補助食品とPFC比の関係
当ブログは「補食ナビ」ですので、栄養補助食品とPFC比の関係についてもお話していきたいと思います。
当ブログでは、補食を紹介するときにPFC比を記載している場合が多いです。
その時の参考にもしてみてください。
PFC比を気にした方がいい補食
PFCを気にした方が良い補食は、、、
「エネルギー補給用」の商品です。
エネルギー補給用の商品は、「高カロリー」の物が多いです。
その分1日全体の摂取エネルギー量を占める割合も高く、PFC比の乱れが生じやすいです。
また、エネルギー補給用の補食は、「少量」なものが多いです。
一番最初にお伝えしましたが、
たんぱく質・炭水化物は1g当たり4kcalなのに対して、
脂質は1g当たり9kcalと「少量高カロリー」な栄養素です。
「少量高カロリー」の補食を作成するために、脂質が多く使われているものがあります。
パッと思い浮かぶ商品として、「50g200kcalのアイソカルゼリーもっとハイカロリー(PFC比 8:64:28 )」とか。
アイソカルゼリー もっとハイカロリー【特徴、口コミ、安く買うには】反対に、さらさらの液体にするために脂質を使っていない(脂質0)の商品もあります。
例えば、「アイソカルクリア(PFC比 20:0:80)」とか。
アイソカルクリア【特徴、口コミ、安く買うには】
場合によっては、PFC 0:0:100 といったような炭水化物しか入っていない商品もあります。
このような商品を用いる場合、
・1日1個までにしてバランスの乱れを抑える
・偏りのある商品を組み合わせて使う
・普段の食事面で調整する
などの対策を取るようにしましょう。
PFC比を気にしなくていい補食
逆にPFC比を気にしなくていい補食は、、、
「エネルギー補給用以外」の商品です。
そもそも、そんなにエネルギーが入っていない場合、PFCなんてあってないようなものです。
そのため、「水分補給」「食物繊維補給」のみの商品の場合、PFC比をあえて記載していません。
1日の食事で見ると、ほぼ誤差なので。
ただ、「たんぱく質補給」「ビタミン・ミネラル補給」などの商品の場合、
パッと見てどの栄養素が多いかわかりやすくするために、一応PFC比を記載しています。
例えば「アイソカルミネラルプラス」ですが、
これは「ミネラル補給」の商品で、
エネルギー80kcalのPFC比「約20:13:66」となっています。
私「あー。脂質はそんなに入ってないんだな。」
とか。
参考程度にしてもらえればいいかなと思っています。
アイソカルミネラルプラス【特徴、口コミ、安く買うには】PFC比が整っているエネルギー補給用の補食
PFC比が整っている補食は、、
「メイバランス」です。
メイバランスは、PFC比(栄養バランス)に主軸を置いていることが特徴です。
たんぱく質15~20%
脂質20~30%
炭水化物50~65%
に当てはまる商品を抜粋してみました。
「メイバランスMini」
「メイバランスミルクテイスト」
「メイバランス発酵乳仕込み」
「メイバランスぎゅっとMini」
「メイバランスソフトJelly」
「メイバランスムースミックス」
「メイバランスアイス」
「メイバランスリハサポートMini」
これが本当に面白くて、
クリニコが展開している「エンジョイ」シリーズや、
ネスレが展開している「アイソカル」シリーズは、PFCがバラバラなんですよ。(オタク笑笑)
メイバランスは、栄養バランスの良さが好まれて医療・介護現場でもよく使われています。
以下の記事でメイバランスシリーズをまとめているので、良かったら見てみてください。
【メイバランスシリーズ一覧】特徴やメリット・デメリットも徹底解説補食をうまく活用すれば、PFC比なんて簡単に整えられる
栄養補助食品は、栄養素の摂取を補助する目的で使用される食品です。
基本的に、
炭水化物の不足は、主食量を増やせば整えられます。
脂質の不足は、油の使用量を増やせば整えられます。
たんぱく質の不足は、「たんぱく質補給用」の栄養補助食品を取り入れれば整えられます。
もちろん、たんぱく質は肉や魚、卵などに豊富に含まれている栄養素ですので、
主菜量を増やせばたんぱく質量も増えます。しかし、その分「脂質」や「塩分」が増えてしまうことが懸念されます。
脂質も塩分も増やさずに、たんぱく質だけ増やすには、たんぱく質補給用の栄養補助食品が最適というわけです。
たんぱく質補給用の栄養補助食品をまとめた記事を以下に置いておきます。
気になる方はご覧ください。
【たんぱく質補給】管理栄養士おすすめ栄養補助食品《9選》まとめ
PFC比率(PFCバランス)とは、エネルギー産生栄養素バランスとも言い、
エネルギーを産生する栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物)が、総エネルギー量に占める割合を言います。
「PFC」は各栄養素の英語表記の頭文字を取った略称です。
(たんぱく質”Protein”、脂質”Fat”、炭水化物”Carbohydrate”)
日本人の食事摂取基準(2020年版)では「目標量」として以下のように定められています。
(65歳以上男女共通)
たんぱく質: 15~20 %
脂質 : 20~30 %
炭水化物 : 50~65 %
1日の摂取割合をこの値に収まるように、心がけましょう。
また、エネルギー補給用の栄養補助食品を使用する場合は、PFC比に気を付けて使うようにしましょう。
医師・栄養士の指導を受けている方は、指導に基づいて使用されることを推奨します。
また、栄養補助食品の多量摂取により、健康が増進するものではありません。
食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、バランスの良い食事を心がけましょう。
参考
多賀昌樹,山田哲雄,内山麻子,伊藤七枝 「応用栄養学」,第一出版,2017年12月,33ページ