「高めの血圧を下げる飲み物が知りたい」
などのお悩みはありませんか?
この記事では、血圧を下げると言われている「トマトジュース」「緑茶」「青汁」について、何の成分に降圧作用があるのか管理栄養士でもある筆者がお話しします。
血圧を下げる飲み物
先に申し上げておきますが、確実に血圧を下げる飲み物はありません。
なぜなら、一人ひとり体質が異なるためです。
血圧が下がると言われている飲み物Aを飲んで、血圧が下がる人もいれば全く効果が無い人もいます。
逆に、飲み物Bなら血圧低下の効果を得られる場合もあります。
人それぞれ体質が異なるため、自分に合った栄養成分を見つけることが重要です。
また栄養素は薬ではないので、治療目的ではなく高血圧予防目的で使用するのが良いと思います。
ここで本題に入りたいと思いますが、
血圧低下効果が得られる可能性のある飲み物には、
トマトジュース・緑茶・青汁などがあります。
それらについて、1つずつご説明します。
①トマトジュース
トマトジュースには「GABA」「カリウム」という栄養成分が入っており、
それらによって血圧を下げる効果に期待ができます。
GABA
血圧は主に交感神経によって支配されています。
交感神経が優位になること(緊張・ストレスなど)によって、
ノルアドレナリンが放出されて血管が収縮し、血圧が上昇します。
GABAはノルアドレナリンの分泌を抑制することで、
血圧の上昇を抑制すると考えられています。
GABAによる降圧効果は多くの研究で確認されており、
特に血圧が高めの人で効果がみられるとされています。
また、正常血圧の方が摂取した場合は、血圧の変動が無いことから、
低血圧になる恐れもなく、比較的安全で優れた成分であるとされています。
※1参考
カリウム
カリウムは、細胞内液の浸透圧の維持を行っており、
ナトリウム(食塩)は、細胞外液の浸透圧の維持を行っています。
ナトリウム(食塩)を多く摂ると、浸透圧のバランスが崩れ、細胞外液量が多くなってしまい、
細胞の外からの圧が強くなり血管が上手く収縮できなくなるため、血圧が高くなってしまいます。
そのため、カリウムを摂り細胞液の浸透圧のバランスが良くなることで、血圧上昇抑制作用を得ることができると考えられています。
現在の日本人は、
食塩(ナトリウム)を多くとりすぎており、カリウムが足りていない人が多いため、
カリウムによる降圧作用は比較的有効であると考えられます。
しかし、ナトリウム(食塩)量を多く摂っていない人や、すでにカリウムをしっかり摂れている人の場合、カリウムによって得られる降圧効果はかなり弱いものとも考えられています。
また、腎臓病を抱えている人はカリウムの摂取が毒になりますので、カリウムの積極的な摂取は避けるべきです。
※2参考
②お茶
お茶には「カテキン」「カリウム」という栄養成分が入っており、
それらによって血圧を下げる効果に期待ができます。
カテキン
カテキンには血圧上昇酵素ACEを阻害し、血圧上昇物質の生成を阻害する作用があるため、
血圧の上昇を抑えられると考えられています。
高血圧ラットを茶カテキン添加飼料で飼育した研究では、
飼料に茶カテキンを添加した群の方が、血圧の上昇を抑えることができたとする報告があります。
また、途中で飼料を交換すると、血圧値も逆転することが分かりました。
ヒトを対象とした研究では、
健常人が毎日茶カテキン500mgを3か月間摂取し、前後の血圧で比較したところ、
収縮期血圧・拡張期血圧ともに低下傾向を示しました。
また、その効果は血圧が高めな人で顕著に表れたそうです。
このことから、茶カテキンには血圧上昇を抑制する効果があると考えられます。
※3参考
カリウム
トマトジュースカリウム説明欄を参照ください。
③青汁
青汁には「クロロゲン酸」「カリウム」という栄養成分が入っており、
それらによって血圧を下げる効果に期待ができます。
クロロゲン酸
血圧とは血管壁にかかる圧力のことですが、
血管に柔軟性があり広がりやすければ、心臓から血液が沢山送りこまれても、血圧は正常に保たれます。
しかし、生活習慣が悪化することで活性酵素というものが生まれ、血管が固くなってしまいます。
そうすると、血液が沢山送り込まれても血管が広がらず、血管壁に大きな圧力がかかってしまい、高血圧となってしまいます。
クロロゲン酸には、血管が固くなる原因である活性酵素を抑制し、酸化ストレスを軽減する作用があります。
それにより、血管に柔軟性が生まれ、高めの血圧を低下させることができると考えられています。
※参考4.5
カリウム
トマトジュースカリウム説明欄を参照ください。
まとめ
トマトジュースのGABA、カリウム
緑茶のカテキン、カリウム
青汁のクロロゲン酸、カリウム
によって血圧を下げる効果を得られる可能性があります。
これを飲んだからといって確実に血圧が下がるわけではありませんが、
生活習慣改善の第一歩として取り入れてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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※この記事は、トマトジュース・緑茶・青汁の降圧効果を確定するものではありません。
食生活は主食・主菜・副菜の揃ったバランスの良い食事を意識しましょう。
参考
※1 ギャバ(GABA)の効能と有効摂取量に関する文献的考察,佐々木泰弘.河野元信,美味技術研究誌,No.15.32~37(2010)
※2 本態性高血圧症患者におけるカリウム降圧効果,安東克之.藤田敏郎.山下亀次郎,日内会誌,第72巻 第7号,24~31(1983)
※3 茶カテキン類の機能性とそれらの応用例,原征彦,日本食品保蔵科学会誌,Vol26,No.1,47~54(2000)