「ときどき、ホエイプロテイン(乳清タンパク質)配合と書かれているものがありますが、ホエイプロテイン(乳清タンパク質)とは何ですか?」
「ホエイプロテインとコラーゲンペプチドは、どっちが良いですか?」
「ホエイプロテインが入っている栄養補助食品を教えてください」
などのお悩みはありませんか?
この記事では、ホエイプロテインの効果や摂取についてのポイント、ホエイプロテインが摂れる栄養補助食品などについてお話します。
目次
ホエイプロテイン(乳清タンパク質)とは
ホエイプロテイン(乳清タンパク質)とは、乳類のタンパク質の一種です。
乳類のタンパク質は大きく分けると、「ホエイ(乳清)」と「カゼイン」の2種類あります。
牛乳をpH4.6にすると、白色の沈殿を生じますが、この沈殿が「カゼイン」です。
その際の半透明の上澄みを「ホエイ(乳清)」と呼び、ホエイ(乳清)中にはタンパク質、乳糖、ミネラル、水溶性ビタミンなどが含まれていますが、そこに含まれるタンパク質のことをホエイプロテイン(乳清タンパク質)と呼びます。
身近なもので言うと、ヨーグルトの上澄み液がホエイ(乳清)です。
ホエイプロテインは、比較的消化・吸収速度が速いという事が特徴です。
筋トレなどをする場合は、運動後に素早くたんぱく質補給ができるというメリットが好まれ、よく使われています。
加齢により消化・吸収能力が低下している場合にも、胃腸への負荷を抑えることができるというメリットがあるため、栄養補助食品に活用されています。
期待される効果
筋肉は日々、合成と分解を繰り返しています。
加齢による食事摂取量の減少により低栄養状態が起こると、筋肉の分解が合成を上回る形となり筋肉量が減少します。
筋肉の元になる栄養素は「たんぱく質」であるため、ホエイプロテインを取り入れることで、たんぱく質不足は防ぐことができます。
(筋肉の合成には、運動も必要です。)
ホエイにはラクトフェリンなどの成分が含まれており、その成分が骨を作る細胞の増殖を促し、骨を壊す細胞を抑制することが知られています。
また、ホエイの摂取によって骨の強度が増加することも報告されています。
またMBP(乳塩基性タンパク質)と呼ばれる成分は、骨代謝を改善して骨密度を増加させる作用があることが確認されています。
このようにして、ホエイには骨の健康を保つ効果が期待できます。
東京大学の研究によると、ホエイに含まれている「WYジペプチド」の摂取により、認知症の予防が期待できると報告されています。
また、同研究によると、短期的な摂取でも加齢性の認知機能低下を改善する作用があることも確認されているとのことです。
現在発売されている、ホエイプロテイン商品が認知症発症予防効果が期待できるかどうかはわかりませんが、今後WY配列含有ホエイペプチドを用いた日常的に摂取しやすい認知症予防食品の開発が期待されています。
先程、乳類のタンパク質は、「ホエイ」と「カゼイン」の2種類あるとお話しましたが、
ホエイの方が、速やかに吸収され、タンパク質合成の促進作用があるとされています。
そのため、運動・リハビリ後にホエイプロテインを摂取することで、筋肉の増強効果を期待することができます。
ホエイプロテインは、BCAA含有量が多いことが特徴です。
そのため、BCAAによる効果、特に疲労回復効果を得ることができるとされています。
BCAAについては、こちらで詳しく記載しています。
BCAAの効果や摂取時のポイントなど【高齢者と栄養】ホエイプロテインを摂るときのポイント
ホエイプロテインを食材から摂ることは難しいです。
そのため、栄養補助食品や健康食品などからの摂取をおすすめします。
例えば、栄養補助食品の場合は、「ホエイプロテイン入り」「乳清タンパク質入り」などと書かれている物を選ぶようにしましょう。
詳しくは、記事後方で商品紹介をしていますので、そちらを参考にしてください。
健康食品の場合は、プロテインパウダーが無難です。
「ザバス」などは、ドラッグストアなどでも販売されているため試しやすいです。
健康食品の場合も、「ホエイプロテイン」と書かれているものを選びましょう。
プロテインパウダーには、「カゼインプロテイン」や「ソイプロテイン」などもあるので、間違えないようにしましょう。
運動・リハビリをしている方で、ホエイプロテイン入りの栄養補助食品を取り入れたいと考えている方は、運動後のタイミングがおすすめです。
運動後30分は筋合成のゴールデンタイムとも呼ばれており、そのタイミングでたんぱく質を補給すると吸収が良いとされています。
運動後に飲むことで、筋組織を速く回復させることに期待ができます。
「ホエイプロテイン」と検索すると、筋トレーニー向けの記事が多く出てきます。
ホエイプロテインは筋トレに有効であるためです。
しかし、高齢者の方々向けの記事ではないので鵜吞みにしないでほしいです。
例えば、摂取タイミングとして「筋トレ前後」「朝食代わりに」「日々の合間に」「夜、寝る前」と紹介している記事がありましたが、そんなに必要ありません。
高負荷の筋トレをしている人は、たくさん飲んでも問題ありませんが、
高齢者が健康のためにと、ホエイプロテインをたくさん飲んでも、十分に代謝できずに体脂肪として蓄積されてしまう可能性が高いです。
過剰に飲むことで健康を害し、生活習慣病のリスクを高めてしまうため、適切な量の摂取を心がけましょう。
日々のたんぱく質摂取不足を補う程度に、1日1本(個)程度の栄養補助食品を目安に取り入れることをおすすめします。
(食思不良の方の場合は、2~3本(個)もしくはそれ以上が必要になる可能性もあります。)
たんぱく質は代謝されると、老廃物ができます。この老廃物をろ過して排出するのが腎臓です。
たんぱく質を多く摂ると腎臓に負担がかかります。
健康診断などで腎臓の機能を指摘された方は、医師・管理栄養士の指導の元、たんぱく質摂取量に気を付けて食事をするようにしてください。
ホエイプロテイン配合のおすすめの栄養補助食品
低栄養対策や食思不良など栄養バランスよく摂りたい場合は、たんぱく質以外も摂れる栄養補助食品が良いでしょう。
料理や食品にプラスして、たんぱく質をより補給したい場合は、プロテイン粉末の活用が良いでしょう。
ホエイプロテインが10g入っている。
また、BCAAも2500mg入っているため、運動やリハビリをしている方には、良い効果が期待できる。
ゼリー飲料のため、嚥下能力が低下している人でも使いやすい。
ビタミンDが20㎍入っているため、骨折リスク低減や筋力維持に期待ができる。
エネルギーは100kcalとやや抑えめなため、エネルギーを多く摂りたくない方におすすめ。
メーカー | クリニコ | 内容量(g) | 120 |
用途 | たんぱく質補給 | エネルギー(kcal) | 100 |
ホエイ(g) | 10.0 | たんぱく質(g) | 10.0 |
アレルゲン | 乳 大豆※ | 脂質(g) | 0 |
PFC比 | 40:0:60 | 炭水化物(g) | 15.0 |
味の種類 | 4種類 | 食塩相当量(g) | 0.015 |
備考 | BCAA2500mg ビタミンD20㎍ | 水分量(g) | 94.8 |
ホエイプロテインが10g入っている。
割合は不明だがホエイプロテインだけではなく、ホエイペプチドが使われているため、より吸収が早い。
また、BCAAも2500mg入っているため、運動やリハビリをしている方には、良い効果が期待できる。
メイバランスシリーズのため、栄養バランスが良く最適なPFC比である事と、ビタミン・ミネラルがバランスよく配合されていることも魅力。
エネルギーも200kcalとしっかり入っているため、低栄養を防ぐことができる。
エネルギーや五大栄養素もしっかりと補給したい人におすすめ。
メーカー | 明治 | 内容量(ml) | 125 |
用途 | エネルギー・ たんぱく質補給 | エネルギー(kcal) | 200 |
ホエイ(g) | 10.0 | たんぱく質(g) | 10.0 |
アレルゲン | 乳 大豆 | 脂質(g) | 5.6 |
PFC比 | 20:25:55 | 炭水化物(g) | 29.2 |
味の種類 | 1種類 | 食塩相当量(g) | 0.36 |
備考 | BCAA2500mg ビタミン・ ミネラル配合 カルニチン配合 | 水分量(g) | 93.6 |
ホエイプロテインが10g入っている。
また、BCAAも2500mg入っているため、運動やリハビリをしている方には、良い効果が期待できる。
脂質が0gのため、すっきりとした味わいで飲みやすい。
エネルギーが200kcal入っているため、エネルギー補給もできる。
低栄養対策に向いている。
キャップ付きのため、飲みたい分だけ飲むことができ、飲まなかった分は保存することができる。
メーカー | ネスレ | 内容量(g) | 200 |
用途 | エネルギー・ たんぱく質補給 | エネルギー(kcal) | 200 |
ホエイ(g) | 10.0 | たんぱく質(g) | 10.0 |
アレルゲン | 乳 | 脂質(g) | 0 |
PFC比 | 20:0:80 | 炭水化物(g) | 40.0 |
味の種類 | 3種類 | 食塩相当量(g) | 0 |
備考 | 2550mg | 水分量(g) | 166 |
粉末状のプロテイン商品。
健康食品のプロテイン商品とは違い、料理(味噌汁やヨーグルトなど)に混ぜて使う。
料理に混ぜて使うため、欲しい量だけ取り入れることが可能で使いやすい。
たんぱく質だけではなく、不足しがちなミネラル3種(カルシウム・鉄・亜鉛)が入っているため、皮膚や骨へのケアが期待でできる。
しかし、摂りすぎによるミネラルの過剰摂取に注意。
(目安量12.5g)
メーカー | 明治 | 内容量(g) | 10 |
用途 | たんぱく質補給 | エネルギー(kcal) | 37 |
ホエイ(g) | 8.0 | たんぱく質(g) | 8.0 |
アレルゲン | 乳 大豆 | 脂質(g) | 0.1 |
PFC比 | – | 炭水化物(g) | 1.0 |
味の種類 | 1種類 | 食塩相当量(g) | 0.17 |
備考 | カルシウム・ 鉄・亜鉛配合 (BCAA1966mg) | 水分量(g) | – |
粉末状のプロテイン商品。
健康食品のプロテイン商品とは違い、料理(味噌汁やヨーグルトなど)に混ぜて使う。
料理に混ぜて使うため、欲しい量だけ取り入れることが可能で使いやすい。
メイプロと異なる点はミネラルの強化が無い事。
ミネラルの過剰摂取に気を付ける必要が無いため、摂りたい分だけたんぱく質を摂ることができる。
(目安量特になし)
また、他に栄養補助食品やサプリメントを取り入れている場合でも、ミネラルの過剰摂取の心配が無いため使いやすい。
メーカー | クリニコ | 内容量(g) | 10 |
用途 | たんぱく質補給 | エネルギー(kcal) | 37 |
ホエイ(g) | 9.0 | たんぱく質(g) | 9.0 |
アレルゲン | 乳 大豆 | 脂質(g) | 0.1 |
PFC比 | – | 炭水化物(g) | 0.1 |
味の種類 | 1種類 | 食塩相当量(g) | 0.15 |
備考 | BCAA2200mg | 水分量(g) | 0.6 |
まとめ
ホエイプロテイン(乳清タンパク質)とは、乳類のタンパク質の一種です。
吸収が早いため、運動・リハビリ後に最適であったり、胃腸の能力が低下している高齢者に適しています。
主に、サルコペニア対策や筋力増強の補助目的として使われます。
そんなホエイプロテインが入っている栄養補助食品もご紹介しました。
医師・栄養士の指導を受けている方は、指導に基づいて使用されることを推奨します。
また、栄養補助食品の多量摂取により、健康が増進するものではありません。
食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、バランスの良い食事を心がけましょう。
参考
瀬口正晴,八田一「食べ物と健康2食品学各論(第3版)」,(株)化学同人,2017年9月56~57ページ
ホエイからの各種有用成分の分離と栄養,機能食品への応用研究,桑田有,Milk Science Vol.61,No.2 2012