栄養補助食品はなぜ必要なのか?
栄養補助食品はどんな時に必要なのか?
など栄養補助食品を取り入れる必要性やタイミングが分からない方も多いと思います。
この記事では、私が病院で管理栄養士として働いていた時に、どのような患者様に栄養補助食品を提供していたか、実体験をお話しします。栄養補助食品を取り入れようか迷っている方は参考の一つにしてみてください。
特に多いケースです。
栄養状態の低下は褥瘡などのリスクにもなってしまううため、
通常の食事だけでは、栄養状態が改善しない方に、栄養状態を改善する目的で栄養補助食品を1日2~3個提供していました。
栄養状態の簡易判定には血液検査データのAlb(アルブミン)値を使用していました。
一般的にはAlb値3.5(g/dL)以下が低栄養状態と考えられています。
しかし、Alb値3.0~3.5(g/dL)は低栄養か否か簡単には判断しにくいため、食事摂取量や体重減少率なども考慮して低栄養のリスク判定をしていました。
Alb値3.0(g/dL)未満の場合は、ほぼ低栄養状態である(低栄養のリスクが高い)と判断していました。(透析患者を除く)
BMIとは[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出される値で、肥満や低体重(やせ)の判定に用いられる指標です。
BMI e-ヘルスネット(厚生労働省)
日本肥満学会の定めた基準では18.5未満が低体重(やせ)に分類されます。
痩せていると免疫力なども低下してしまうため、
通常の食事だけでは体重が増加しない方に、体重を増加する目的で栄養補助食品を1日1~3個提供していました。
しかし、痩せている方全員に補食を提供していたわけではありません。
痩せていてもADL(日常生活動作レベル)が高い方などは、その他血液検査データなどを考慮して決めていました。
食思不良(食欲が低下している)状態だと、いずれ低栄養状態になってしまったり、体重が減少してしまいます。
「通常の食事をしっかり食べてくれない」という方に、食事の選択肢を増やし、好きなものだけでもいいから食べてもらいたいという目的で栄養補助食品を1日2~3個提供していました。
そのため、本来は補食の味を選択、希望することはできないという決まりにしていたのですが、食思不良の方には好きな味が選択できるようになっていました。
食思不良の定義ですが、施設によって異なると思いますが、私の病院では食事摂取率5割以下の場合を食思不良(食欲低下)としていました。
褥瘡とは、寝たきりなどによって、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることで、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうことです。
褥瘡について(日本褥瘡学会)
上記の通り、褥瘡は耐圧分散ができていない事が一番の原因ですが、低栄養状態も原因の一つです。
また、病院では栄養管理計画書という患者の栄養管理をするための計画書を作成する必要があるのですが、褥瘡ができた場合は、低栄養のリスク判定を高リスクとし、直ちに治癒するように他職種で連携して治療計画を立てます。
栄養面では、たんぱく質やビタミンC、亜鉛、アルギニンなどが治癒に有効なため、褥瘡の状態をみてどの栄養(補食)が適しているかを提案し、医師の判断のもとで補食を提供していました。
褥瘡を有している場合、栄養補助食品はかなり重要な選択になります。
個人で購入する場合は、どの栄養補助食品が適しているか、医師・管理栄養士に相談して決めるようにしてください。
透析をしている場合、
たんぱく質、カリウム、リン、ナトリウム、水分などの栄養素量が制限されることがあります。
一般的な栄養補助食品は、カリウムやリンが多く配合されていますが、透析者向けの補食はそれが少なくなっている商品などがあります。
クリニックなどの外来人工透析に通われている場合の栄養補助食品の選択は、個人の判断では非常に難しいです。
使用を検討している場合は、透析先の病院・クリニックの管理栄養士、医師へ相談して下さい。
病院に入院している方は補食が必要な人もいると思いますが、外来で透析を受けている方は補食がいらないくらい元気な方が多いと思います。
他にも、摂食障害の方、血糖コントロール不良の方などに、栄養補助食品を付加しながら治療をしていました。
治療の一環ですので、食事や補食の提供量も日に日に変わるような難しいケースです。
上記のようなケースで栄養補助食品を提供していました。
ご家庭で、①~③に当てはまるような場合は体調を見ながら、少しずつ補食を取り入れてみても良いと思います。
④~⑥に当てはまる場合は、外来治療をされているケースが多いと思います。
そのかかりつけ医へ相談してみるのも一つの手だと思います。
医師・栄養士の指導を受けている方は、指導に基づいて使用されることを推奨します。
また、栄養補助食品の多量摂取により、健康が増進するものではありません。
食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、バランスの良い食事を心がけましょう。