フジテレビ系「ホンマでっか!?TV」4/24日放送内で、ナスが自律神経に良いとして紹介されました。
ナスに多く含まれる「コリンエステル」という神経伝達物質による作用だとのことですが、
この記事では、ナスに含まれるコリンエステルは実際にどんな研究がなされ、何に効くのかなどについてお話しします。
目次
ナスの栄養
昔は、「ナスは中身がスカスカで栄養なんて無い」と言われていたこともありますが、
今はナスの栄養に注目が集まっており、ナスに対する見方が180℃変わったと言っても過言ではありません。
そんなナスの栄養について見ていきましょう。
カリウム
ナス(生)100g当たり、カリウムが220mg含まれています。
カリウムはナスにだけ含まれる栄養素ではなく、野菜や果物に多く含まれているミネラルの一種です。
カリウムはナトリウムと共に、細胞内外の水分バランスを調節する役割があり、
カリウムが足りなくなるとナトリウムが多くなり、むくみや高血圧などを引き起こす原因になります。
ナスニン
ナスニンとはナスに多く含まれているポリフェノールの一種で、ナスの色(紫色)のもとになっている成分です。
そのため、ナスの皮に多く含まれています。
ナスニンには強い抗酸化作用があり、身体の酸化(老化)を防いでくれることに期待ができます。
コリンエステル
コリンエステルとは、コリンと有機酸がエステル結合した化合物です。
ナスは他の野菜の3000倍も多くコリンエステルを含有しています。
神経伝達物質のアセチルコリンもコリンエステルの一種です。
自律神経を調節することにより、血圧改善などに効果が期待できるとされています。
コリンエステルの研究結果と期待できる効果
降圧作用(ラット)
高血圧自然発生ラットになす粉末を4週間経口投与したところ、
極めて少ない摂取量で血圧を低下させることが明らかになりました。
また、交感神経活動にも変化が出ていたことから、
アセチルコリン(コリンエステル)の作用により、副交感神経が亢進し、
ノルアドレナリン、アドレナリンなどの交感神経を抑制したことにより血圧が低下したものと推定されました。(図1)
血圧改善作用(ヒト)
ストレスを感じている正常高値血圧者(130~139/85~89)及びⅠ度高血圧者(140~159/90~99)のそれぞれ50名を対象に、
ナス由来コリンエステル(アセチルコリン)を2.3mg含有する粉末カプセルを12週間継続して摂取してもらったところ、
血圧及び心理状態が有意に改善しました。
12週間の摂取期間中、副作用や問題となる有害事象は認められず、なすの安全性も確認されました。
機能性表示食品が健常者を対象としているためであることから、
血圧が高めの健常者である正常高値血圧者におけるなすの効果を解析し、
摂取8週間の来所時血圧(拡張期)の改善が正常高値血圧者で顕著であること(図2)
摂取12週間に正常高値血圧者のネガティブな気分の総合指標が有意に改善したことが明らかとなりました。(図3)
更なる期待
ナスの健康効果として、心理状態の改善があることから、
睡眠改善作用も実証しているそうです。
ナス由来のコリンエステルは、自律神経を調整する作用を発揮すると考えられているため、
今後さまざまな効果を有した機能性食品の実用化が期待できるとしています。
コリンエステルが摂れるサプリメント
コリンエステルはナスに多く含まれているため、毎日ナスを食べることで上記のような効果を期待できますが、
現実的に考えてナスを毎日食べることはほぼ不可能です。
そこで、コリンエステルが摂れるサプリメントをご紹介します。
ウェルナスサプリ
信州大学准教授の中村浩蔵さんと信州大学院卒で長年高血圧に悩んでいた小山正浩さんらが共同で開発したものです。
ナスのコリンエステルに関する作用は、最近明らかになったということもあり、
現在、コリンエステルを摂れるサプリは「ウェルナスサプリ」のみです。
詳しく知りたい方は、小山さんが立ち上げた「wellnas」公式ホームページをご覧ください。
ナス料理の注意点
サプリメントでなく、普通のナスからコリンエステルを摂ることも可能ですが、
ナス料理を食べす際には、注意するべきことがあります。
それが、ナス料理には油が多く使用されるということです。
ナスは油との相性が良く、油を使うと美味しくなるため、
揚げナスにタレを絡めたり、大量の油で表面を焼いてから煮びたしにするなど、
油を大量に使いがちです。
現代人は、油(脂質)と食塩を摂りすぎな傾向にあり、ナス料理ではそれを加速させる可能性もあります。
ナスに血圧上昇抑制効果など、血圧改善効果に期待できますが、
脂質過多、食塩過多な食生活をしてしまっては元も子もありません。
食事は適切なバランスを心掛けてください。
まとめ
ナスに含まれているコリンエステルには、
血圧改善作用や、心理状態の改善作用があることが分かりました。
その他にも、自律神経を調整する作用を発揮すると考えられていることから、
今後さらにさまざまな作用が明らかになる可能性が高いです。
21世紀になっても「栄養」「食物」面で、新しい発見があることに驚きました。
管理栄養士として、食の力を多くの人に届けられるように勉強し続けていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。
参考
「なすの食品機能と機能性表示食品」中村浩蔵(農畜産業振興機構)
wellnas公式ホームページ
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年