「透析をしているのですが、食べても大丈夫な栄養補助食品を教えてください。」
「透析をしている父の食欲が落ちていて心配です。何か食べさせてあげたいのですが…」
などのお悩みはありませんか?
この記事では、管理栄養士がおすすめする透析者向きの栄養補助食品を5商品紹介します。
おすすめの選び方
透析をしている方は、様々な制限があります。
これから紹介する5つのポイントを理解して、栄養補助食品を選ぶようにしましょう。
透析をしている方は、
食事の制限や透析による疲労から、食欲が低下してしまう方も多くいます。
栄養補助食品を使ってエネルギー補給ができるように、ある程度エネルギーが入っているものがおすすめです。
適切なエネルギー摂取量は、標準体重1㎏当たり30~35kcal※1ですので、これを目安に食事を摂るようにして、足りない分は補食で補うようにしましょう。
慢性腎不全の保存期(透析をしていない時)では、たんぱく質の摂取制限がありますが、
透析者ではたんぱく質の極端な制限はなく、筋肉量の維持のためにも標準体重1㎏当たり0.9~1.2(g)※1が望ましいとされています。
しかし、慢性腎不全の方用の栄養補助食品は保存期でも使えるように、たんぱく質が入っていないものもあります。
大まかに「慢性腎不全の方用の栄養補助食品」を選ぶのではなく、たんぱく質が入っている栄養補助食品を選ぶようにしましょう。
透析には血液透析と腹膜透析の2種類があります。
血液透析をしている方は、カリウムの摂取量に注意しましょう。
1日の目安量は2000㎎以下※1とされています。(腹膜透析の方は制限なし※1です。)
そのため、栄養補助食品を選ぶ際はできるだけカリウム量が少ない物を選ぶようにしましょう。
透析をしている方は、リンの摂取量にも注意が必要です。
1日の目安量は〔 1日の適正たんぱく質摂取量(g) × 15〕mg/日以下※1とされています。
そのため、栄養補助食品を選ぶ際はできるだけリン量が少ない物を選ぶようにしましょう。
透析では、水分摂取量がかなり重要です。
1日の目安量は、
血液透析の方は、できるだけ少なく※1
腹膜透析の方は、腹膜透析での除水量+尿量※1
とされています。
水分を摂りすぎてしまうと、心臓へ負荷がかかってしまいます。
1日の水分量は500~800mlを目安にしましょう。
(詳しくは医師の指示に従ってください。)
上記の栄養摂取量はあくまで、「目安」です。
一人ひとり、状態は異なります。
中には、カリウム・リンが少なすぎるため、あえて制限をかけない人もいます。
水分量は、主食がご飯なのか全粥なのかによっても変わってきます。
詳しくは、医師・管理栄養士と相談の上、栄養補助食品を決めるようにしましょう。
5商品を比較
おすすめ5選
少量で栄養バランスよくエネルギーを補給したい方におすすめ
PFCバランス20:40:40と脂質がやや多いですが、バランスは良いです。
また、筋肉の合成などに関与する栄養素BCAAを1000mg配合しており、筋肉量の維持に期待ができます。
ゼリータイプのため、水分も少なく、摂食嚥下能力が低下している人でも取り入れやすく総合的に判断しても、かなりおすすめです。
たんぱく質をしっかりと摂り、低栄養対策をしたい方におすすめ
たんぱく質がかなり入っているため、食欲が低下していて食事を全量食べられないなどの方に適しています。
ビタミン・ミネラルが高容量配合されているため、1日1個までしか食べられない点が難点です。
飲料タイプの栄養補助食品を探している方におすすめ
透析者は「飲み水を少なくして下さい」と言われているため、逆に飲料タイプの栄養補助食品は好んで全量摂取してくれる方が多い印象です(病院時代の経験上)。
コーヒー風味という点も高齢者には好まれている印象です(病院時代の経験上)。
リーナレン「LP」では無く「MP」であることに注意。(LPはたんぱく質が少ない)
高確率で飲まないようにと言われているであろう「牛乳」の代替商品を探している方にオススメ
透析ではリンを制限するため、乳製品は控えるように言われることが多く、牛乳やヨーグルトなどは食べる機会が減ってしまいます。
そうすると、カルシウムの摂取量が減り、骨が弱ってしまう危険性があります。
リンを抑えつつ、カルシウムは摂れる、ミルクタイプの栄養補助食品です。
粉を水(お湯)で溶く際に、水の入れすぎに注意。
超少量でエネルギーを補給したい方におすすめ
超少量でエネルギーを摂取できるため、食欲がない方でも食べてもらいやすいです。
また、ビタミン・ミネラルも配合されているため、微量栄養素の不足対策も同時にできます。
たんぱく質が0gと、全く摂れない点に注意。
まとめ
透析者向きの栄養補助食品を5商品紹介しました。
透析をしている人は、カリウム、リン、水分の摂取量に注意しないといけないため、それらの含有量が少ない物がおすすめです。
しかし、一人ひとり状態が違うため、何をどの程度制限するべきか、栄養補助食品の使用は大丈夫かなど、主治医、管理栄養士へ相談して使用するようにしましょう。
医師・栄養士の指導を受けている方は、指導に基づいて使用されることを推奨します。
また、栄養補助食品の多量摂取により、健康が増進するものではありません。
食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、バランスの良い食事を心がけましょう。